もしこの気持ちを恋だというのなら、
□05.
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晴太くんはお登勢さんの店で働き始めた。
それからは生意気そうな雰囲気は変わり、年相応の少年らしい無邪気さも出てきた。
そして稼いだお金は週に一回まとめて吉原にある店に預けているらしい。
あたしは正直心配だった。
「ねぇ、銀さん。
晴太くんはちゃんと信頼できる人のところにお金、預けてんの?」
「・・・ねーちゃんさ、嫌なとこ突っ込むね」
「行ってみようよ」
そして、やっぱり
銀さんと向かった吉原の茶屋で晴太くんが信じて金を届けてたおっさんが金を毎日、酒飲み代として使ってたとわかった。
・・・ま、想像は出来てたんだけど。
「あ〜あ、やっぱり」
「んなこったろうとは思ってたぜ。
まァいいさ、最初から金で会える相手とは思っちゃいねェ」
「そだね。
花魁にそんな簡単に会えるもんじゃない」
「ねーちゃん幾らだ」
銀さんはぶっ倒したおっさんの懐を漁りながら店の女に言う。
「お代は、けっこうです。
スッキリさせてもらえたので」
「・・・貴方は晴太くんのことを知ってた?」
「ここでは有名でしたので。
子供の来るような所ではないのでね」
・・・・まぁ確かに。
「日輪と晴太を会わせようと考えておいでで?」
「うるせーガキに、いつまでも住みつかれちゃ迷惑なんでな。
身寄りでもいねーかと捜しに来ただけさ」
「ねぇ、金のない奴はどーやったら日輪さんに会える?」
「日輪は、この吉原で最高位の太夫。
余程の上客でなければ会えません。
・・・諦めた方が、よろしいかと」
『吉原桃源郷』は地上とは別の法で縛られた一個の国、地上の常識は通じない。
・・・と言われてもね、あたしには関係ないし。
吉原のルールに従わなければ二度と地上に戻れなくなると言われて黙ってる銀さんでもないみたいだし。
「ワリーな。俺達ゃ上でも下でも、てめーのルールで生きてんだ」
「・・・だそうです。
お分かり?おねぇさん」
その途端飛び上がった女がクナイを大量に投げ付けてくる。
それをあたしは傘ですべて叩き落す。
木刀を手にして銀さんが殴った女をあたしは地上に叩き落した。
「くせ者!!」と叫ぶ声が聞こえて、あたしらは走り出す。
「チッ、めんどくせー事になってきやがった!!」
「銀さんたちってさ、いっつもこうやって面倒事背負い込むの?
物好きだねぇ」
「うるせー!好きでやってんじゃねぇよ」
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