小説。

□春
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「綺麗ですね…。」

リンは桜の花びらの風にあたりながらつぶやいた。
俺はそんなリンに「あぁ、そうだね。」も言えずに黙ってリンのとなりを歩いていた。

君の行動が記憶の中にいるリンと一緒なんだ。

リン…君はあの桜をみているかい?君がいなくなってから俺は毎日別のリンと暮らしているんだ。君にしぐさや言葉づかいがそっくりなんだ。

ただ、怖いのは…




実際にいないんだと気づいた時。




俺はいま一人で来た道を引き返した…


せめて、あの日の前に一言、「好きだ」と言いたかった。
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