True memorys
□1
1ページ/2ページ
私の持ってる最後の記憶は、彼女がにっこり笑って
「死 ん で ?」
まるで無声映画のように呟いていた記憶。
――――――……
そこで私は目が覚めた。
そしていつも通り1人の家を出て学校に向かう。
いつも通り無視されて、殴られて蹴られて、だけど文句も言えずに黙っている。
いつも、通りに?
ふと、思った。
私は「私」だけど「私」じゃない。
じゃあ、誰?
「考え事なんて余裕だね?」
その言葉を聞いた後、すぐに鳩尾に鈍い痛みがまた走る。
そうだ、今はそれどころじゃない。
なぜかテニス部に呼び出されて殴られ蹴られ、私は屋上の床に這いつくばっているのだ。
朝っぱらから何が起こってるんだ。
「早く死ねよ、マジキモい。」
今度は赤髪の男に腕をギリッと踏まれた。
痛い痛い痛い。
腕が折れる、痛い!!!
「…おっと、そろそろ時間だな。精市、戻ろう。」
「ああ、そうだね。
ねぇ、また可奈に手を出したら…今度こそ潰すからね。」
ヘアバンドをつけた男はそう言うと、他の五人と一緒に屋上を出て行った。
取り残された私は、1人ぽつんと這いつくばったまま頭を必死に働かせた。
まずは、なぜ私はこんな目にあったのか。
そもそもな話、彼らのことはテニス部としか記憶がない。
だけど呼び出される前に盗み聞いた、クラスのコの話では私はテニス部のマネージャーらしい。
記憶が、ない。
これはいわゆる、記憶喪失ってやつだったり?
だとすればいつも通りに違和感を覚えたのも、納得がいく。
頭が覚えてなくとも、体は習慣として行動を覚えていたらしい。
とりあえず、体の傷を癒すために夢の世界へ旅立つのが優先か。
ちょうど授業の始まりを示すチャイムを聞いた瞬間、私は瞼を閉じた。