True memorys
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「お前…またかよ!」
「ブ、ブン太…!!」
「丸井、落ち着け!」
そう言って彼女は、丸井ブン太と呼ばれる男にすがりついた。
丸井は彼女が自分の方にくると、彼女を大事な宝物を庇うように隠す。
「お前もこりない奴だな…」
「ブン太、違うんだよ…?あの、その…」
「言わなくても大丈夫だよ。は俺たちが守るから。」
「精一…」
は?何?どういうこと?
『ねぇ、どういうこと?』
そう呟けば、ヘアバンドをつけた精一と呼ばれた男が睨んできた。顔が美人さんなだけに、少し恐かった。
「よくそんなセリフが言えるな。またに暴言を吐き、ドリンクを掛けたのだろう。その確率は98%だ。」
『やってないよ、そんなこと!』
なんて人聞きの悪い!
そうか、こういうことか。
レギュラー達は、えーと…可奈?が大切で、私は可奈に…嵌められた?
だからテニス部…朝の様子を見ると全校に嫌われている。のかな。
糸目の人がが「また」って言っていたから、この一連の流れが繰り返されているってこと…?
「……まだ嘘を吐くんスか?」
今まで黙っていた黒髪のくせっ毛の男の子が、急に俯いていた顔を上げた。
彼の目は、血のように赤かった。
「可奈先輩に毎回毎回よォ…っ!…アンタ、潰すよ?」
そう言った彼の目には、はっきりとした殺気が込められていた。
「赤也、ストップ。可奈、先に保健室に行っておいで。」
「う、うんっ…!」
「柳生、連れて行ってくれるかい?」
彼の殺気に気づいたのかヘアバンドが優しく微笑み、そう促すと、ジェントルなメガネは「もちろん、」と可奈を連れて出て行った。
「さて、……ガム子?」
『っ…!』
ビクリ。体がその声に跳ねたのが、自分でも分かった。
できることなら、この場から逃げ出したいくらいである。
「今日は真田がいないからぬるいかもね…」
「大丈夫っスよ、部長。俺、今日こそは我慢できそうにないっスから……。」
赤目の彼は殺気を押さえる気はないようで、さっきから私を容赦なく睨みつける。
やだやだやだ。もう殴られるのは嫌だ。そんな心とは裏腹に、どんどん私は追いつめられていく。
どうしたら、いい?
後ろは窓、前は敵。これ以上は下がれない!
「じゃあガム子、覚悟してね?」
その瞬間だった。
((ガラッ!))
『えっ…!?』
「なっ!」
窓が開いて、彼らと私が声を出したのはほぼ同時だったと思う。
気づいたら所謂俵持ちというのだろうか、誰かの肩に担がれて窓から脱出した私。
………え?
何が起こってるのか、誰か説明プリーズ!