True memorys

□3
1ページ/1ページ


「お前…またかよ!」

「ブ、ブン太…!!」

「丸井、落ち着け!」


そう言って彼女は、丸井ブン太と呼ばれる男にすがりついた。

丸井は彼女が自分の方にくると、彼女を大事な宝物を庇うように隠す。


「お前もこりない奴だな…」

「ブン太、違うんだよ…?あの、その…」

「言わなくても大丈夫だよ。は俺たちが守るから。」

「精一…」


は?何?どういうこと?


『ねぇ、どういうこと?』


そう呟けば、ヘアバンドをつけた精一と呼ばれた男が睨んできた。顔が美人さんなだけに、少し恐かった。


「よくそんなセリフが言えるな。またに暴言を吐き、ドリンクを掛けたのだろう。その確率は98%だ。」


『やってないよ、そんなこと!』


なんて人聞きの悪い!


そうか、こういうことか。

レギュラー達は、えーと…可奈?が大切で、私は可奈に…嵌められた?

だからテニス部…朝の様子を見ると全校に嫌われている。のかな。


糸目の人がが「また」って言っていたから、この一連の流れが繰り返されているってこと…?


「……まだ嘘を吐くんスか?」

今まで黙っていた黒髪のくせっ毛の男の子が、急に俯いていた顔を上げた。


彼の目は、血のように赤かった。


「可奈先輩に毎回毎回よォ…っ!…アンタ、潰すよ?」


そう言った彼の目には、はっきりとした殺気が込められていた。


「赤也、ストップ。可奈、先に保健室に行っておいで。」

「う、うんっ…!」

「柳生、連れて行ってくれるかい?」


彼の殺気に気づいたのかヘアバンドが優しく微笑み、そう促すと、ジェントルなメガネは「もちろん、」と可奈を連れて出て行った。



「さて、……ガム子?」


『っ…!』


ビクリ。体がその声に跳ねたのが、自分でも分かった。
できることなら、この場から逃げ出したいくらいである。



「今日は真田がいないからぬるいかもね…」

「大丈夫っスよ、部長。俺、今日こそは我慢できそうにないっスから……。」


赤目の彼は殺気を押さえる気はないようで、さっきから私を容赦なく睨みつける。

やだやだやだ。もう殴られるのは嫌だ。そんな心とは裏腹に、どんどん私は追いつめられていく。

どうしたら、いい?

後ろは窓、前は敵。これ以上は下がれない!


「じゃあガム子、覚悟してね?」



その瞬間だった。


((ガラッ!))


『えっ…!?』
「なっ!」


窓が開いて、彼らと私が声を出したのはほぼ同時だったと思う。

気づいたら所謂俵持ちというのだろうか、誰かの肩に担がれて窓から脱出した私。




………え?


何が起こってるのか、誰か説明プリーズ!

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ