Main

□言った数だけ伝わるのなら、
1ページ/2ページ


私とリョーマは恋人。

だけど、リョーマが言葉にしてくれたことはない。





『リョーマ…好きだよ?』


「…ん、知ってる。」



二人きりで過ごす、久々のリョーマの部屋。



精一杯伝えてみても、返ってくるのはこんなのばかり。

リョーマは、「好き」の2文字は言ってくれないんだね…




『…っ、なんで?』

「は?」



私は悔しくなって、思わず目に涙をためてリョーマを見た。



『どうして…言ってくれないの…!!』


悔しかったはずが、だんだん悲しくなっちゃって部屋を飛び出した。



自分だけ、なんだ。


好き合ってなんかないんだ。



息が切れて立ち止まっても、涙は止まってくれなかった。



『ふっ…ひっく…すき、なのにっ…』



ぼろぼろ、ぼろぼろ。

涙と同じように、私の想いも止まらなかった。




だけど。


涙で歪んだ視界の中で見たのは、息を切らして追ってきてくれたリョーマだった。


「っバカ!」


『っえ…?』



私の姿を見ると、リョーマはすぐに抱きしめてくれた。


リョーマ、温かい…

…てか、バカって…



「…ごめん、不安にさせて。」


『リョー…マ?』


「俺、言わなくても名無したんは大丈夫だって勝手に思ってた。

そんな訳ないのに、ごめん。」


びっくりした。


だってリョーマがこんなに一生懸命、思いを伝えてくれてるなんて…


リョーマは体制を直して、私と向かい合った。




「好きだよ。名無したんが好き。」


『わたし…もっ…』



また涙が溢れたけど、もう大丈夫。




言った数だけ伝わるのなら、


(俺は一生、)
(アンタにだけ言い続けるよ)
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ