怪盗キッド

□第三章
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 アリスが消えた後、快斗は残された翼と結晶を手に、自宅へと飛び立った。
フワリフワリと夜の空をばれぬまま飛び続け、夜の風を全身で感じてはいるが、快斗の心は曇り続ける。

 自分がアリスを傷つけた。
だが、アリスは人間ではありえない。
天使のように、背から生えていたこの翼。

いくら、マジックだったとしても、血肉までこだわる必要も無いはずだ。
だが、コレは何だ…。



 自分の部屋へとたどり着いた快斗は、その翼と結晶を持ったまま、自室の隠し扉の中にその翼だけを置いて、その翼を隠した。

快斗「アリス…、本当に何者なんだよ…。親父の事を知ってた。警部も叫んでたし組んでたのは間違いないんだろう…?それに狙撃…。
っだー!わっかんねーよ!!!」

 快斗は苛立ちながらも隠し部屋を後にし、自分のベッドに仰向けに倒れこんだ。

ベッドから見える満月は、いつもの仕事終わりと変わらず綺麗に光り輝いている。
今日手に入れるはずだった"月の雫"はアリスに先を越された、自分が手に入れたのは…自分が傷つけ手に入れたアリスの血の結晶…。

 快斗はふと、いつもの様に月にその結晶をかかげる。
だが、その結晶を月に透かせたとき、違和感があり快斗はガバッと起き上がると窓際に行き、もう一度月に透かした。

快斗「な…なんだよ…これ…。
親父の書いてたのは…赤色に光る…だからパンドラじゃねぇ…。
でも…コレ…。」

 アリスの残した結晶は…、月の光を纏いながらも、闇が広がるかの様に、闇を広げるかの様に、黒いモヤがまとわり付いていた…。
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