明智健悟

□ただ会いたかっただけ
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ストーカーの一件以来、凜華はしばらくの間笙悟と一緒に帰る事になった。
学校が終わったら家には帰らず、警視庁の近くの喫茶店へ向かう事。
両親のいない凜華にとって、笙悟との約束は絶対のものだった。
嫌々ではない。そういうものだと思っているから、苦痛に感じたことはなかった。

「…あっ、もう時間だ」

図書室で勉強していた凜華は、時計の針が5時半を回ったのに気が付いた。
凜華は準備を整えて学校を後にした。


さすがに仕事場には行けないため、近くの喫茶店での待ち合わせ。
だが、今日は6時に上がれるからと言われたので、直接警視庁前まで行く事になっている。

「お、凜華ちゃん。今日も如月警部と待ち合わせか??」

凜華を見掛けた刑事が話しかけてきた。

「そうなんです。もう少しで来る予定なので…それまでここにいさせてください」

「それは構わないよ、そんなにかたくならなくていいって!しかし、警部の凜華ちゃん溺愛ぶりは相変わらずだなぁ。確かに可愛いっていう点に変わりはないけどな」

「そんな事ないですよ…!」

そんなやりとりを玄関先でしていると、遠くから笙悟の声。

「凜華!」

「あ、笙悟兄!」

凜華は笙悟に駆け寄り、凜華と話していた刑事は笙悟を見るとすぐに背筋を伸ばし姿勢を正した。

「丁度いい時間に来たな。俺も終わったんだが上に荷物があるから、それ取って来るまでそこで座って待ってろ。いいな?」

「はーいっ」

凜華が素直に座ったのを見ると、凜華と話していた刑事を連れて戻って行った。





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