明智健悟

□拍手ログ
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「…明智さん」

「今は健悟、と呼んでください」

健悟の言葉に、私は小さな溜め息をついた。

「…健悟さん、」

「はい」

「その、仕事ができないので、後ろから抱きつくのやめていただけますか??」

「おや、失敬。体が自然と動いていたようです」

健悟は悪そびれた様子もなく言う。

「――って、離れてください」

「今だけは我儘を許してください。離れたくないんです」

貴女を抱き締める腕に力が籠った。

「…仕事が増えても知りませんから」

「手伝います」

「剣持警部に怒られても知りませんから」

「私があの人に有無を言わせるとでも??」

近付いて囁く健悟の綺麗な顔に、ついどきっとしてしまった私はまだまだ甘い。

「…こんなとこ、見られたら大変ですよ」

「少しだけですから」

「…私が後ろ抱き弱いの知ってるクセに」

後ろ抱きに弱い私の心拍数は上がる一方だ。
健悟に敵う日はまだ先らしい。



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