明智健悟
□嫉妬
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「…先ほど連絡がありまして、今日ロス市警にいた頃のパートナーが来るようです」
朝食を取っているときに明智から言われた一言。
「パートナー?」
「えぇ。仕事の関係で警視庁へ急遽来ることになったそうで。休暇中ですが私が迎えに行くことになりましてね。…ん、今日のコーヒーの味は絶妙だ。上手くなりましたね、凜華」
カップを口に運び、感嘆のため息を漏らす。
「ありがとうございます。…で、女性ですか?パートナーってことは…」
「えぇ。凜華同様、仕事のできる素晴らしい方です。パトリシアと言うのですが、一緒に会っていただけますか?」
「…分かりました」
随分ほめるな、なんて言えず凜華は渋々頷いた。
「(せっかくの休暇だったのになぁ…)」
─────。
「健悟ーっ!」
空港で待機していると、どこからか女性の声。
二人の目の前に現れたのは、ロス市警にいる刑事とは思えない格好をしたパトリシア・オブライエンだった。
「あぁ、パット。お久しぶりですね。元気でしたか?」
「もちろんよ。健悟も元気そうで何よりだわ」
明智がすぐに近付き、挨拶を交わす。
会話がなされるが、全て英語のため、凜華は一部を聞き取るのがやっとだった。
「(恐るべしネイティヴ…)」
「あら、その子は?」
突然日本語に切り替えられたうえに、顔を覗き込まれたため、凜華はつい身をかたくしてしまった。
「は。申し遅れました、如月凜華と申します。警視からお話は伺っています、パトリシアさん」
気を取り直して敬礼し、挨拶をすると、パトリシアはにっこり笑って答えた。
「あぁ、健悟の部下ね。お迎えありがとう。パトリシア・オブライエンよ。よろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします」