明智健悟

□早く帰って来て!
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車を停めて降りてからも早足で向かう。
エレベーターのボタンを押して、ドアが開くのを今か今かと待つ。
幸い近くで止まっていたらしく、ドアはすぐに開いて明智を乗せて最上階へと上り始めた。

チン、と音が鳴りドアが開く。
あともう少し。
あのドアを開ければ可愛い凜華が顔を出してくれる。

明智がドアを開けた瞬間、今までにない程の稲光が辺りにほとばしり、同時に雷鳴が轟いた。


「きゃあっ!雷っ!!」


それと変わらない速さで小さな悲鳴が聞え、明智に小さくも痛い衝撃が走る。


「おっと、もう大丈夫ですよ、凜華…。私がいますから」


飛び付いてきた凜華をそっと抱き締め、恐怖から守ろうと両腕に力を込めた。


「もー…何で雷なんか鳴るの……ひゃっ!」


小さな衝撃を与えてきた本人は雷に文句を言い、また光を見ては驚いて明智の胸に顔を埋めた。


「大丈夫です。さぁ、部屋に入りましょう」

「健悟さん…今日随分とお早いお帰りですね…?もしかして私のために早く帰って来てくれたとか…?」


ゆっくりと部屋に入り、一緒にソファに腰掛ける。


「─…可愛い凜華をこんな時に1人にしたくないですから」

「またそうやって…!──あとで剣持警部にお礼を言わなくちゃね?」

仕事任せてきたんでしょ?
と言われたら白状するしかない。

「…そうです。あとでちゃんと感謝しなければ、ですね」

私たちの間柄を一番理解してくれているのは、きっと彼だろうから。

「あっ!」

「どうしました?」

突然思い出したように声を上げる凜華。

「おかえりなさい、健悟さん」

何かと思えば。
なるほど、確かに雷のせいでまだ言ってないし言われていない。



「ただいま、凜華」






2013/10/13
13:41大幅訂正
如月凜華
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