高遠遙一
□大切だった 後編
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ゆっくりと進む船の上に、満天の星と流れ星。
甲板で1人海を眺めていた凜華は、ふと空を見上げた。
「今日は流星群がピークだったんだ…」
今までに見たことが見たことがないくらいの数の流星群。
次第に気が付いた人たちが甲板へ出てきた。
「わあ…。ほんと今日は天気がよくて良かったわね」
「ママ!流れ星がいっぱいだよ!お願い事しなきゃ!」
「今日乗り込んで正解だったな。君に見せることができて良かったよ」
様々な人の、様々な会話が聞こえてくる。
「見せることができて良かった、か…」
私がこの流星群を一番見せたい人は、今はいない。
きっとどこかで同じように見上げているかもしれないし、仕事に夢中で見ていないかもしれない。
「……」
船はゆっくりと進む。