story

□高熱
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「…けほっ、こほっ」
「………」
「うえ…くしゅっ!」
「おい、大丈夫かよ」
朝から咳やらくしゃみやらが続いている仙蔵。
「平気だ…」
おまけに鼻声で、風邪をひいた事は明らかだった。
「医務室行くか?」
「いい」
赤い顔してよく言うな…
「そうだ…作法室に用が有ったんだ…」
壁を伝って歩いている所を見ると、上手く歩けないのだろう。
危ないから後に着いて行こうか…と思っていると、

ドサッ

視界から仙蔵が消えた。
床に倒れていたのだ。
「仙蔵!!」


それからは仙蔵を背負って呼吸音を気にしながら医務室へ駆けて行った。
「文次郎?どうしたの」
「…仙蔵が倒れた」
「取り敢えずそこに寝かせて。今水汲んで来る」
畳に仙蔵を寝かせると少し咳が落ち着いた。
「仙蔵の奴、最近徹夜で何かしてたみたいだ」
「仙蔵は根詰めすぎなんだよねえ…」
伊作が手拭いを絞り、額に置いた。
「文次郎、そういえば僕先生に呼ばれてて…薬置いておくから飲ませてね」
「分かった」
障子が閉まり、足音が遠退くと仙蔵が口を開いた。
「…怠い」
「寝てろ。落ち着いたら薬飲むからな」
「熱い…」
頬は赤く、目には涙の膜が張っている。
ヤバい、いつにも増して可愛いんだが…!
「仙蔵、可愛いなお前」
殴られるかと思ったが、仙蔵は何を言われたのかいまいち分かっていない様で布団から少し顔を出してきょとんと首を傾げた。
誰か止めてくれ。じゃないと本当に暴走しそうだ。
「…文次郎、」
「ん?」
「私を背負って来てくれてありがとうな」

俺の中の何かが弾けた。恐らく理性の類だろう。
「文、次郎…?」
気付けば横たわっていた仙蔵の上に覆いかぶさっていた。
「駄目だ、伝染る…!」
「平気だ」
忍装束の合わせを開き、胸元を撫でる。
「…っ」
冷たい肌は熱く火照って、普段見られない姿が次々と暴かれていく。
「ここ、勃ってるぜ」
「ぁ…っ!」
上衣を広げ腹掛けさえも捲りあげると、そこには紅く染まった乳首が有った。
舌で転がす様に舐めれば更に赤みが増す。
「…!っあ…」
「声出せ、仙蔵」
「んあっ!?い、っ!」
声を出すのを堪える為に噛んでいた指を握り締める。その間、乳首に軽く歯を立てると腰が跳ねた。
「…はぁ、は…は…っ」
「良いか」
「…人の身体の自由が利かないのを良いことに…」
仙蔵の瞳は涙で濡れ、睨んでいると言うよりは上目遣いだ。
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