江戸っ子奮闘記

□第八章 村長の悩み
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来た道を戻り村長さんのお家まで来るとエノキちゃんが大きく手を振って歓迎してくれた。





「おじちゃんたちお帰りなの。じいちゃんのかたち、見た?」


「見た見たー、はっきりくっきり」


「君のおかげで調査も進んでいるよ。協力してくれてありがとう」


「ホントに?うれしいな、エヘエヘ。あ、あのね、ばあちゃんの話も聞く?」


「おばあさんさえよかったらぜひ話を伺いたいね。今はどこにるんだい?」


「あのね、ばあちゃんさっきからおうちにいたの。けど、ヨウジンだから、さっきダイジョウブか聞いたの。そしたらダイジョウブだって!」


「それはよかった」


「はい。どうぞおあがりくださいなの。ハシゴ登って入ってください」





エノキちゃんはレミの手を引いて梯子まで案内した。

すっかり好かれた様子でレミも嬉しそうだ。

梯子を登り人生初のツリーハウスに足を踏み入れた。

中は意外にも広く、中心の柱にはキノコが生え、吹き抜けの上階にはカラフルなオウムが出入りしている。

これがかの有名な魅惑のチキルー◯か。

すると白髪のリーゼントのおばあさんが出迎えてくれた。





「来たかい、旅の人。ジイさんの心配してくれてんのだろ。お世話さんなこって。村の連中は意地の悪いことを言わなかったかい?肝の小さいやつらばかりだもんでな」


「いえ、とんでもない。いろいろとお世話になっています」


「外の人なんてのはあたしも小娘の時に見たきりだけどね…さて、ジイさんの事だったかい」


「ここ最近、村長さんの身に何か変わったことはありましたか?」


「そうさねぇ…なんだか狩りの腕がさっぱり落ちたらしくてねぇ。矢が当たらないどころか弓までなくてしくる始末なのさ」


「休憩してた時に忘れちゃったのかなぁ」


「いんやー、あれでも村じゃ名うての狩人って呼ばれてたから道具を粗末にするとは思えんねぇ」


「確かにそれは、弓の名手がする失敗とは思えませんね」


「さぞ気が塞いだんだろうよ。近頃じゃ腹から笑うこともなくなったし外に出たらごはん時まで帰ってこないのさ。夜になってもプーラプラ何してるんだろうねぇ、あの人は…」





おばあさんの発言に何となくひらめいてしまった。

無意識に先生に視線をやると先生も何かひらめいたのかバチリと目が合った。

くそ、同時か…とレイカが目を反らすとレイトンはいつもと違う様子に?を浮かべたがそのまま話を続けた。

村長さんの情報を聞き終え、おばあさんに村長さんを元に戻すと約束すると少し安心したような表情になった。

その実現のために外に出て作戦を立てることに。

どうやらサーロインさんもこのナゾが分かったようだ。





「教授、とうとうナゾを解明するんですね。さっそく村長さんのところへ行きましょう!」


「できればそうしたいが、まだやることが残っているんだ。村長さんに笑ってもらうための道具作りをするよ」


「道具、ですか?」


「そ、だから材料集めしなきゃね」


「えー!レイカも分かったの?」


「まぁねん」


「ちっ」


「少年、見苦しいぞ」


「それで、どんな材料を見つければいいんですか?」





レミがメモ帳を取り出すと不貞腐れていたルークも慌ててメモ帳を出した。





「まずは手触りのなめらかな棒があるといいな」


「棒…ですか?木の枝みたいなものでいいんでしょうか」


「枝ではすぐに壊れてしまうから、もう少し丈夫な素材で探してみよう」


「枝よりも丈夫な棒、ですね。他には何が必要ですか?」


「接着剤を…と言いたいところだが代用品を探す必要があるな」


「ジャングルで手に入れるとなると、樹液か何かになるでしょう」


「必要なのは棒と、接着剤かしら?教授たちがこれだって思うものが見つかるといいんだけど」


「そうそう、この道具はこの土地に元々あるもので作りたいんだ。他の地域のものは使わないよ」


「材料は全部、この村周辺で手に入るものなんですね。難しそうだけど、探してみましょう」





こうして村長さん笑わせる作戦の要となる道具の材料探しが始まった。

あたしたちは手分けをしてそれぞれ材料を探しに行き、ヒトヨさんから出汁をとりきったイボガエルの骨を棒として、村に生息するカタツムリの粘液を接着剤として入手することに成功した。
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