銀魂

□涙の理由
1ページ/1ページ




蝉が鳴くこの季節
暑くて暑くて死にそう


日差しがダメな私だけど
気づけばいつものあの場所へ行ってしまう





ある公園の決まった青いベンチで傘をさし酢昆布を食べる


するといつものアイツがやってくる





「おい、チャイナ
そこは俺の場所でィ」


真選組の沖田総悟だ
会えばすぐ喧嘩するが
気が合う時も稀にある


「んだとサド野郎!!」


「やるかクソチャイナ!!」






いつもなら喧嘩が始まるが
今日は特に暑い
私は立つ気力さえ無かった




「…今日はやめとくアル
暑くて死にそうだヨ」


喧嘩したいけど
本当に無理アルヨ…


するとアイツも



「俺もでィ…こんな暑いのに喧嘩なんかする気ないでさァ」



そう言って私の隣に
腰をおろした








ちらっと隣をみると
袖をまくった腕に
私と喧嘩をした時の傷や
仕事でできた傷がたくさんあった

(こんなに傷が…)






「何見てるんでィ」


「なっなんでもないアル」







傷を見ていてアイツの急な言葉にびっくりした私は
なぜか恥ずかしくなった



そして急に悲しくなった





(私が気づかない間にコイツいっぱい怪我してたアルナ…
ちょっと間違えれば大怪我アル……)










「おっおいチャイナ…」


「何アルか??」




「なんで泣いてるんでさぁ??」



「えっ……」







私は気づかないうちに泣いていた
大粒の涙だった…


(私なにやってるアルか!!)









「なんでもないネ
目にゴミ入っただけアル」



私はゴシゴシと袖で涙を拭い
これ以上涙の意味を聞かれたく無かった…
そして立ち上がり万事屋に帰ろうとした時





「待ちなせィ」


急に呼び止められた
(な、何アル…お願いだから聞かないでヨ………)




そう思いながら振り返ると
私にハンカチを差し出していた



「使いなせィ。泣いた理由聞いたりなんかしねェさ、
俺は人を慰めるなんてマネできねェ…
でもな見過ごすなんてマネもできねェ…」




そう言ってハンカチを私の手に握らせて行ってしまった















「本当…馬鹿アルな」


私は小さくそう言って
万事屋に帰って行った















[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ