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□ナニがあっても後戻り不可能
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――――これでいい。
これで、誰も傷付かずに済む。
全部が全部、これで良かった。
ハズなのに・・・。
どうして、涙が零れるんだ?
土方の瞳からは、大粒の涙が溢れ出てきた。
頬を冷たい水滴が伝う。
土方にそれを止める術は無い。
どうして、こんなに悲しいのか。
これは自分で決めた事で、言ったのも自分なのに。
でもきっと、アイツが言いかけていた事もこれだったのだろう・・・と。
なんとなく、勘で分かった。
(これから仕事・・・って気分でもねぇな、サボるか・・・・?)
そんな事したら、近藤さんに何か言われるだろう。
だとしても、この赤く充血した目と腫れた顔で行ったら、行く方がそれこそ質問攻めだ。
(まぁ、サボらないでも、少し落ち着いてから行くか・・・)
そう思ったが早いか否か・・・・・。
土方は縁側に座って日向ぼっこと洒落込んだ。
春の陽射しは超と言っていいほど心地良く、土方はいつの間にかフッと楽な気分になっていた。
土方は自然と目を閉じた。
が、気配を感じハッと目を開ける。
気配の正体は目の前を通りかかった猫だった。
土方は目の前にいた猫に手を差し出した。
土方はスルッと横に来た猫の顎を撫でてやる。
するとその猫は目を細めて眠りに着いてしまった。
そして、いつの間にか土方も眠りに着いてしまっていた。
(そういえば昨日、あんま寝てなかったな)