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□ナニも考えず飲んだ結果
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普通の上司らしい事を言ってやる。
一瞬、不思議そうな表情を沖田はしたものの、へぃと不服そうに返事をして歩き出した。
もちろん、屯所に戻るのだ。
今日はなんだかんだで、色々あったために、もう外回りを真面目にする気力も体力も沖田には残っていなかったから。
土方も同じだったため、何も仕事の事は言わずに沖田に続く。

「でも、好きな奴がいるんだったら、もうあーゆーコトすんなよ?」

「あーゆーコト、ですかィ?」

「身代わりに、誰かを抱いたりすんなってコトだよ!!」

「え、あ・・・そうですねィ」

声のトーンが低くなった。
『身代わり』
―――俺にそんなつもりがなくても、土方さんにとってはそれ以外の何物でもでもない。
その事実が沖田の表情を曇らせる。
―――気付いて欲しい。
―――知られたくない。
感情とは不思議なモノで、表に出さないようにすれば、意外と隠せたりするのだ。
このごろの俺は気が緩みすぎだったんだ。
沖田の放つ言葉に一喜一憂していちゃいけねぇんだ。
―――伝わって欲しい。
―――話したくない。
見返りは求めねぇ。
それを再確認するかのように心の中で繰り返し唱えた。

(さっきのこの人の反応で、調子に乗ってたんですかねィ?)

自分でカマかけたのに、平然と返されて、動揺するなんて・・・・。

(長期戦で行くって決めたじゃねェかィ。焦る必要はねェ)

屯所に向かう二人の足取りは重くなった。
心の中にぐるぐると渦巻く感情を押し込めながら、歩くのに精一杯でお互いがお互いの表情を見ていなかった。
見ていたとしたら、何か確信を得られていたかもしれないのに・・・。
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