いきなり続き物も何なので、ちょろっと短編でも
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「まただ…」
テーブルの上にあったのはいつもよく使っている有名なテーマパークのキャラがプリントアウトされたマグカップ。でも僕が最後にこれを使ったのは朝お茶を飲むときに使った台所だ。つまりこんなところにこれがあるのはおかしい。
ここのところこんな事がよくある。
電池がなくなっていたはずのゲームのリモコンになぜか電池が入っていたり、歯ブラシを立てておく場所がいつもと違ったり。
最初は僕がつかれて間違えただけなのかなと思っていた。ただ最近の動向からどうやらそれはありえなさそうである。
さらに今日はいつもと違うところがあった。
マグカップの下に紙が敷いてあったのだ。一般的に見ればコースターとして使ったのかと思うが、それはありえない。なぜなら下敷きになっていたそれは自分が大切に使っていた便箋だったからだ。
無意識に僕は綺麗に三つ折にされた便箋をひらく。そして当然だがそこに書かれた文字に視線を落とした。
『手紙を読んでいるそこのあなたへ。これまであなたに気づいてもらえないか、色々と試行錯誤しました。でももっと積極的な態度を取らなくては事は始まらないと思い、手紙を書いた次第です。』
その後にはよくアニメなんかで聞くようなありきたりな文章ががずらずらと書き連ねてあった。
これはあれだ。俗にいうラブレターという奴。僕にはとても縁のないものじゃないか。
例えるとしたらフォアグラにトリュフをかけたものを食すくらい縁のないものだ。
なぜこれがこんなところにあるのか。素直に思うこととしては、これがほんとにラブレターなら愛が重すぎる。これでは只の不法侵入だ。愛とは逆ベクトルではないのか。
そんなモヤモヤした気持ちは、最後の一文で吹き飛ばされた。
…返事をお待ちしております。あなたより』
あなたより…?さっぱり意味がわからない。理解不能の雨あられである。
幼い頃から君は物事の捉え方が客観的すぎて気持ち悪いといろんな大人に言われたが、そんな僕でも理解不能。誰かの悪戯だとしか考えられない。
混乱する頭とキリキリする腹を抑えつつ、お茶を一杯飲もうと食器棚の前に立つ。
しかしその直後に感じたのは、とてつもない悪寒。悪寒である。
目の前のガラスで仕切られた食器棚に反射する自分の姿は見たこともないような顔をする自分。いや、他人。
「やっと会えたね。」
話しているのは、自分。
話しかけられているのは、自分。
「会いたかった、話したかった。ずっとあなたが好きだった。手が握りたい。髪を撫でてもらいたい。もうあなたが使った私物を眺めるだけの毎日じゃ嫌なの!!大好き!!大好きだから!!…」
口が滑る、とはこのことか。自分の意識とは関係なく、しゃべる、しゃべる、しゃべる。
愛の言葉を、羅列する。
かきむしるように、ガラスを掻く。
なんだ…やっと冷静になれた。簡単なことだったんじゃないか…。
-------只の二重人格だよ---------
『昨夜未明、◯◯県の20代の男性の遺体が発見されました。遺体は叩きつけたガラスによる出血死と見られており、警察は家中のすべてのガラスが割れていたことから、他殺の方向もあるとして捜査をーーーーーー…』
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補足
筋書き・設定、何もなしに書くとこうなる←
長編はもっと明るい話をかこうかな。
今回の話を要約すると、二重人格の青年が、自分の中に潜むヤンデレ女に殺される話。
疲れてるからこんな話しか書けないんだ。きっとそうだ。(言い訳)