novel

□近付きたくて
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「君との....もう終わりにしたい」















今日は日曜、不二は大阪の白石の家まで逢いに来ている。
白石はベッドに凭れながら「弛んでもうた」と独り言を言いながらクルクル包帯を巻き直している。不二は白石んちの猫を膝に乗せ、白石の隣に座り包帯を巻く白石を見つめていた。

2人にとって何ら変わりのない日常の昼下がり、そんな時不二が冒頭の言葉を投げ掛けた。



「....は?なんて?」

白石は不二の突然の言葉に驚き包帯を巻く手が止まる。


「だから、終わりにしたいて言ったの」

不二は自分の膝の上で眠る猫を撫でながら平然と同じ言葉を繰り返す









「ミャッ?」

「あ...何するの!折角気持ち良さそうに寝てたのに」

白石は不二から猫を引き離した。勿論不二は白石に抗議する、床に離された猫もまるで白石に抗議しているかのように「ニャアニャア」鳴いている。それを白石は「後で遊んだるから今は向こう言っとき」と言葉なんて通じないであろう猫に向かって言うと、ドアの方を指差す。猫は通じたのかドアの方へトコトコ走って行った。
それを見ていた不二は

「君...すごいな。いや、猫が賢いのかな...」


呑気に感心している。そんな不二に白石はため息を吐いて話を進めた

「なんで急にそないなこと言うん?...俺なんか悪いこと.......あっ」

ふと、白石は何かを思い出したのか声を上げる
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