novel
□愛に行く
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「 急に押し掛けちゃってごめんね 」
「 ....あぁ、別に構へんで 」
全国大会の時不二くんから連絡先を聞かれて以来メールが頻繁に来るようになった
最近はなんでか知らんが不二くんが直接こっち(大阪)に来ることが増えた(お金大丈夫なんやろか)。
来る言うても不二くんも学生やし部活もある。両方が休みの日曜、祝日を狙って来る。そん時は俺んち呼んだり、謙也、財前、小春ユウジらと遊んだりしとる
...でも今日は平日のしかも丁度俺らが部活の真っ最中に不二くんは学校までやって来た
「 自分今日は部活はないんか? 」
俺はとりあえず今一番気になっていたことを聞いてみる
「 あぁ、あったけど具合が悪いって言って帰って来ちゃった 」
「 そうなんか、具合悪いんにわざわざここまで来たんか? 」
「 まさか、体調は万全だよ 」
ああ、要するにサボりか
「 意外やなぁ、不二くんが仮病なんて 」
「 ...なんか顔を見たくなっちゃってね 」
顔?.....誰のや?
「 ま...まぁええわ。俺練習戻らなあかんし、終わるまでそこのベンチに座っとき 」
俺がコート脇のベンチを指差すと不二くんはそれはまぁ穏やかな笑みで「わかった」言うてベンチに腰かけた。
一体なんなんやろ...
俺は頭を抱えながらコートに戻ると謙也が俺んとこ来て小さい声で耳打ちして来た
「 白石、あれは絶対お前に惚れとるなぁ 」
「 なんや急に...なんのことや 」
「 わかれや、ハゲ!不二のことや、不二は絶対お前に惚れとるわ 」
誰がハゲや!......て、
「 はぁぁぁ?! 」
俺の声はコート全体に響き渡ってしまい全員の注目を浴びてしまった、不二くんもびっくりした顔でこっち見とる
「 急にでかい声出すなや! .....お前意外は全員気付いとるで 」
「 ...... 」
あかん頭真っ白になるって、こうゆうことなんやっつうくらい真っ白や
ちゅうか.....それはないやろ。不二くんはああ見えて(失礼)男やし、
「 ...俺女に見えるとか? 」
「 はぁ?!何言っとるん 」
ヤバッ思ってた事が口に出てもうた!
「 見えるわけないやろが、ハゲ!......お前より不二のが女に見えるわ 」
だからハゲちゃうわ!
.....俺も同感や。
「 いや、不二くんに限ってそれはないやろ 」
「 じゃなかったらわざわざ大阪までそう頻繁に来いへんやろ〜 」
...................。
....いやいや...まさか..な
「 あっらぁ蔵リン!ラブラブ話ィ? 」
「 小春〜待ってくれ〜 」
「 白石のブラブラ話?それってなんやー!!白石ー! 」
今一番厄介なペア&1年が来よった..
「 そ...そんなんとちゃうし!練習にみんな戻れや! 」
「 ブラブラ話ってなんや白石ー! 」
金ちゃんは俺が包帯をちらつかせたら「毒手は嫌やー!」と言って逃げて行った。大体ブラブラ話って何や、こっちが聞きたいわ
とりあえず不二くんとは後でちゃんと話そう....
なんかこんなもやもやのままは落ち着かんわ
もし面と向かって"好き"なんて言われたら....俺はどうするんやろか....
断るんやろか
....受け入れるやろか?
不二くんのことは嫌いやないけど....やぱ男同士わなぁ...
いやいや...気が早いやろ、俺。まだそうと決まった訳やないし.......
俺が勝手に一人思考を張り巡らせていると小春がまた俺の元に走り寄って来た
もうええっちゅうねん!
「 蔵リ〜ン、浮気や浮気! 」
「 ....浮気? 」
小春がコート脇の方を指差す