novel
□近付きたくて
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「な..何??どうしたの?」
白石の声に驚き不二は肩をピクりとびくつかせた
「もしや...不二、あん時のことまだ怒ってんのとちゃうか?」
「何のこと?」
不二には全く白石の言った「あん時のこと」が分からなかった
「..ごまかさんでええ。まさか不二がそこまで怒ってたとは思わへんかった!...すまん!」
白石は不二は分かってて知らないフリをしてると決め込み勝手に話を進める、不二の方へ身体を向け土下座して謝る
「...いや、だから..何のことを言ってるんだい?」
隣で土下座をする白石に対して平然とした面持ちで不二は疑問をぶつけた
その言葉に白石は頭を上げる
「...何のことて、、この前逢(お)うた時のことで怒ってるんとちゃうの?」
「この前?...........」
そこで不二は思い出す、
前回逢った日もお互いに学校がある為日曜日だった。その時は白石が東京まで出向き、不二の家の最寄駅で待ち合わせになっていた。
不二が待ち合わせの駅に着いたが休日の駅はいつもより人で賑わっていて、不二は人をかき分けながら白石の姿を探す、白石は一際目立つのですぐに見付かった。不二は声をかけようとしたが歩み寄った足は途中で止まってしまった。
なんと白石は見ず知らずの女性と話をしていたのだ。楽しそうに....不二には見えた。
その後、白石は不二を見付けると女性に何か言って別れ気まずい雰囲気のまま駅から不二の家まで歩く....家に着いてからは案の定不二からの詰問にあう白石。
「だから、あの人は何でもあらへん!」
話を聞けば逆ナンされていて、その女性はしつこくてうまく断れずにいたらしい。
「君、逆ナンしてくる子は苦手だって言ってたけど楽しそうだったじゃないか」
「..楽しいわけないやろが!」
「....」
白石は声を荒げて否定したが不二は納得いかない様子で黙ってしまった。
「...不二くん..怒らへん?」
白石は観念したのか急に控えめに不二に聞いてきた
「....怒らない。だから話して」