novel
□He has come.
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「 観月さんは元気だけど。
なんでだ? 」
「 別に、特に理由なんてないさ 」
「 あ、そうだ!裕太、ケーキ食べない?丁度姉さんが朝ケーキを焼いてくれたんだよ。」
「 ラズベリーパイじゃないけどね 」
ニコッと笑って兄・周助はキッチンに向かった。
話、また反らされたな..裕太はキッチンに立つ兄の姿を見つめていた。
「 裕太、今日は泊まってくの? 」
「 あ? ....帰るよ、明日学校だし。制服とか寮にあんだし 」
「 そう.... 」
ケーキをつつく裕太を見つめながら周助は寂しそうに返事をする。
「 ...美味しい? 」
「 ああ 」
「 そう、よかった。折角作ったんだもん...無駄に終わらなくてよかった 」
「 は?...兄貴が作ったのか? 」
俺がそう聞くと兄貴の顔が曇った気がした。
「 違うよ。さっき姉さんが作ったって言ったじゃないか 」
クスクス兄貴は笑っているけどどこか寂しそうだった
俺は持っていたフォークをお皿に置いて兄貴の頬に手を伸ばしていた
...無意識だったのか、我に返ってパッと兄の頬から手を離した
「 裕太? 」
さすがの兄貴も俺の行動に驚いたのか目を見開いている
「 兄貴が寂しそうな顔してたから 」
「 ....あ、、え?そうかな 」
目が泳いでんじゃん。
「 兄貴、俺に何か隠してねぇか? 」