×グレイ
□チョコより甘い
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「グ、グレイ様っ!あの、これ、受け取ってください・・・!!」
今日は年に一度のfelicita(フェリチタ)と呼ばれる日。
桜が散り始める頃、新しい環境で幸せな日々が送れるようにと祈る日であり、
自分にとっての大切な人の幸せを祈る日でもある。
そして時として、相手の幸せを祈っている、
という思いを込めて相手に何かを送ることもある。
だからこの日は「第二のバレンタイン」とも呼ばれていたりする。
フェアリーテイルも例外ではなく。
ギルドのみんなの幸せを祈り、毎年宴を開いていた。
ある者は自分の親代わりであるマスターへ。
ある者は共に戦ってきたチームの仲間たちへ。
ある者は自分の愛するものへ、それぞれプレゼントを贈っていた。
「グ、グレイ様っ!!」
「ん?おぉ、ジュビア。どうしたんだ?」
「あの、これ・・・ジュビアが作ったチョコです!グレイ様は甘いものが好きだと聞いて・・・」
そう言いながらジュビアが差し出したのは暖色系の包装紙で包まれた、かわいらしい小さな箱だった。
「開けてみてもいいか?」とグレイが尋ねると
ジュビアは嬉しそうでそれでいて少し恥ずかしそうな顔をしながら首を縦にコクコクと振った。
ふたを開けると中には生チョコやトリュフなど、様々な種類のチョコが鎮座していた。
チョコと共に入れられていたメッセージカードには
「グレイ様が今年一年、幸せに暮らせますように。」
と綺麗な文字で書かれていた。
「すっげぇうまそうだな、これ!ジュビア、ありがとなっ!
この礼は今度ぜってェ返すから!!」
「い、いえいえっ!滅相もないですっ!!
ジュビアはグレイ様に喜んで頂けただけで幸せですっっ!!」
そう言ったジュビアにグレイはもう一度満面の笑みと一緒に礼を言うと、
ジュビアはリンゴよりも真っ赤に顔を染めながら走って外に行ってしまった。
そんなジュビアと入れ替わるように、今度はルーシィがグレイの隣に座った。