×グレイ
□叶わぬ願い
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*死ネタ・病み系注意
僕は運命という言葉が嫌いだ。
生まれ、出会い、別れ、成功をし、失敗をして、幸せになったり不幸を抱えたり。
それらがもしあらかじめ「運命」によって決められているのだとしたら、
人間はいったい、なんのために生まれてくるのだろう。
なんのために生きているのだろう。
裕福な家庭に生まれるひと、貧乏に生まれるひと。
美しい母親から生まれる、美しいひと。
そうでないひと。
そして、飢餓や戦争の真っ只中で生まれるひと。
それらすべてを「運命」で片付けなければならないとしたら、
神様はずいぶん、理不尽で残酷ではないか。
「輪るピングドラム」より一部抜粋
俺がナツを失ってから、10年がたった。
俺は10年たってもナツのことを忘れることが出来なかった。
否、忘れてはならないと思った。
ナツが死んだ直後。
俺はすごく荒れていた。
今思うとギルドのみんなにも申し訳なかったと思う。
それでも、止めることが出来なかった。
酒におぼれていた時期もあった。
女だったら誰にでも手を出したし、リストカットをして痛みで喪失感をまぎらわそうとしたときもあった。
それでも俺は・・・・・ナツを忘れられなくて。
誰と居ても、何をしていても
思い浮かぶのはナツの顔。ナツの声。
忘れられたらどんなに楽だろう。って何度も思った。