×グレイ
□チョコより甘い
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「もうグレイったらぁ〜罪な男ねぇ〜」
「?何のことだ?」
意味が分からないとでも言うように、グレイが頭の上にはてなマークを浮かべる。
「はぁ、まぁいいわ。はい、グレイ。
いつもありがとっ!!これ、チョコレートね。」
パチっとウインクをしながらルーシィは手元にある箱をグレイに渡す。
ルーシィから手渡された箱もまた、かわいらしい飾りが施されていた。
中身はさっきと同じチョコレート。
「・・・・・・なんでまたチョコ?」
「え、もしかして嫌いだった?」
「いや、好き。好きだけど・・・。さっきもジュビアにチョコもらってさ。」
「だってグレイ甘いもの好きなんでしょ?甘いもの=チョコでしょ!!」
「なんだよその公式・・・。まぁ好きだから嬉しいけどな。
ありがとよ、ルーシィっ!!」
「もちろん、お返しは3倍返しだからねっ!」
「げ・・・マジかよ・・・」
「ウソウソっ!お返しなんていいわよ。
それよりグレイはナツになんか渡した?」
なぜそこでナツが出てくるのかというと、最近ナツとグレイが付き合い始めたからだ。
二人が付き合っているのは周知の事実で、時々へタレなナツがからかわれたりもするけど
みんな、心の中では二人を応援していた。
―――――――性別などという些細なことにはこだわらない人たちである。
「実は・・・なんも用意してねぇんだよな。」
「えぇっ!!?」
「ほら、最近長期クエストに行ってただろ?んでもって昨日帰ってきたモンからすっかり忘れちまってて・・・」
「ちょっともうやだぁ〜!!今からでも間に合うから何か買ってきなさいよっ!!」
「ほら、さっさと行く!」という半分怒り気味のルーシィの言葉を受け、グレイはゆっくりと歩を進める。
こういう、恋愛事が絡んだ時のルーシィはエルザですら逆らえないほどで
グレイは何も言わずに店が並ぶ大通りへと向かった。
(つってもなぁ・・・ナツなんて何やったら喜んでくれんのかわかんねぇし・・・)
なんて考えながら、人ごみの中を進んでいく。
すれ違う人々が嬉しそうに、幸せそうに歩いていく。
そうだ、今日は幸せを祈る日なのだ。
どうせなら、相手が喜んでくれるものを贈ってやりたい。
しかし、どうしても相手に何を贈ったら喜んでくれるのか分からない。
モンモンと考えているうちに、歩く人々に押されて人ごみから外れてしまった。
さすがにもうあの中に入る気にはなれず、少し暗い細道に入っていく。
ここはあまり人の通らない道だから街灯があるわけがなく、昼間なのに薄暗かった。
はずなのに、突然視界が明るくなる。
前を見てみると、そこには見たことのない洋風な少し洒落た店が一軒、建っていた。
「こんなとこに店なんてあったのか・・・」
大通りに出来ていたら、きっと女の子に人気なお店となっていただろうに。
そう心の中でつぶやいて、グレイは店の中に足を踏み入れた。