†黒の協奏曲†

□第二声【永久の歌姫】
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緤はリナリーに連れられて室長室の前に来ていた。
緤が少し緊張しつつ中に入ると...

『うわぁー...凄い量』

資料の山が目の前に広がっていた。
想像していたものとは違い少し緊張が解ける。

それを聞いたリナリーは苦笑する。

「ごめんなさいね。
兄さん、最近徹夜が続いてるみたいで...」

書類の山の中に埋まりつつある、机らしきものに突っ伏しているコムイをリナリーは近づき、容赦なく揺さぶる。

「もう!!兄さん!!起きて、緤ちゃん来てるよ」

コムイはむにゃむにゃと、気持ち良さそうに寝ている。

「もうっ。さっきまで起きてたのに...」

リナリーがため息をついたとき、室長室の扉が開いた。

「そんな優しい起こし方じゃ室長は起きないぞ」

肩に資料を乗せて、煙草をくわえたリーバーが部屋の中に入ってくる。

「あ、リーバー班長。
お疲れ様」

「あぁ、お疲れ。あっと...そちらさんは?」

リーバーが緤を見た。
リナリーが緤を後ろから軽く押して前へ出す。

「平川緤ちゃんよ。
ほら、さっき崖を登ってた子」

『は、初めましてっ!!
平川緤です』

声を裏返しながら挨拶し、緤は頭を下げた。
やはり、先程のようにフードを被ってしまう。
それを見てリーバーは笑った。

「リーバーだ。
一応、科学班の班長してる。
よろしくな、平川」

緤はフードを外し、顔を上げニッコリと笑いかけた。
その笑顔にリーバーは少しだけ見惚れたが、すぐに我に返り、慌てて話しを逸らした。
「ち、ちょっと待っててくれ
すぐに室長起こすから」

リーバーは慣れた足取りで室長室の奥へと進んでいき、コムイの耳元で呟いた。

「室長ぉー。
リナリーが彼氏連れて来ましたよー」

そう言うと、何をしても起きなかったコムイが物凄い勢いで起き上がった。

「リナリーに彼氏なんて兄さんまだ許しません!!!」

リナリーとリーバーは、呆れた顔でコムイを見て緤は驚きの顔で見ていた。
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