†黒の協奏曲†
□第三声【"home"】
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-数時間前-
緤が眠っていたころ
食堂では歓迎パーティーの準備が行われていた。
「なんだ...騒がしい」
任務から帰ってきた神田が不機嫌そうに呟いた。
「あぁ、ユウは知らなかったんさー。
今日、新しいエクソシストが入団したんさ。
その子の歓迎パーティーの準備。」
椅子に座って様子を見ていたラビが答えた。
神田が更に不機嫌な顔になる。
「だから、ユウって呼ぶな。」
「まあまあ、堅いこと言うなさ。」
ラビが神田の肩をぽんぽんと叩く。
「あ、神田。お帰り」
飾りつけをしていたリナリーが脚立から飛び降りる。
「あのね、新しいエクソシストが...」
「聞いた。俺は参加しない」
神田が食堂を後にしようとしたとき、リナリーに呼び止められた。
「その子、神田と同じ江戸出身なの。
きっと、一人じゃ心細いだろうから出てあげてね?」
可愛く首を傾げたリナリーに神田がたじろぐ。
それを見ていたラビは笑いを堪えている。
「...分かった。」
そう短く言うと、スタスタと食堂から出て行ってしまった。
そんな神田を見送り、ラビが口を開いた。
「ユウってリナリーの言うことは良く聞くさー」
リナリーは首を傾げる。
「そう?神田は話せば分かってくれるけど?」
リナリーは当然のように答え、ラビが苦笑する。
「さあ、ラビも手伝って」
そして、パーティーの準備が急ピッチで進んでいくのだった。