ボカロ

□雨音
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side Len

ザアァァ――――


「すごい雨…。」


俺はぽつりと呟いた。


「だよね!!遊びに行けないし、つまんなーい!!ね、レン。」


「うわっ!?」

独り言のつもりが返事が返ってきて、俺は驚く。

振り向くとそこには 頬をパンパンに膨らませたリンが立っていた。

「もー!!何でそんなに驚くのよー!!ずっと近くにいたでしょー!?」


……全く気付かなかった…。
だってすごい静かだったし?
いつものリンはすごいうるさいし?


「遊びに行きたいよー!!ずっと家の中じゃつまんないっ!」


……確かに。


「じゃあ一緒に行こうか!」


「「ミク姉!!」」


ミク姉がニコニコしながらドアの横に立っていた。



「これからルカちゃんや、めーちゃんたちとお買い物に行くんだー。リンちゃんとレン君も一緒に行かない?」

買い物かー…。


「リン、行くーーっ!レンはどうする?」



「……んー、オレはいいや。」



「そう?じゃあお兄ちゃんとお留守番しててね?」


……あ、カイトも行かないんだ…。


――――
「じゃあ、夜には帰るからね」


ミク姉たちは傘をさして出掛けていった。

その楽しそうな様子に自然と笑みが零れる。


「……嬉しそうだね、レン君」


「……別に」


今、隣にはカイトがいる。
――カイトは誰にでも優しい。自分より他人を大事にして、誰かが困っていれば 一番に駆け付ける。

でも、無防備な笑顔でオレを困らせてるのを 彼は知らない。


こんな気持ちを持っちゃいけないことは 分かってる。
分かってるけど、君を見る度 鼓動が速くなる。


「レン君」

俺の名を呼ぶその声も


どこか憂いを秘めたその瞳も


細く白いその体も


皆に平等なその心も


すべて、オレだけのモノにしてしまいたい―――
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