ボカロ
□狂葬曲
1ページ/3ページ
〜〜♪♪
隣で眠る、貴方の為に唄うよ
寝顔も綺麗な貴方。
……疲れていたのかな?
全く起きる気配がない。
寝かせておいてあげたいけど、さすがに寝過ぎだよ?
ねぇ…レン…起きて?
ご飯、出来てるよ。玉子焼き作ったんだ。いつもよりうまくできたかも!一緒に食べよう?
レン…なんで起きないの?
そうだ、歌を聞けば、レンも起きてくれるかな?
〜〜♪♪
ーー… 一週間ほど前、レンは崖から転落した。
幸い、外傷は大したことがなく安心したのだが、なにやら様子がおかしい。
虚ろな瞳をして何かブツブツと呟いている。
「………ト………イト」
あぁ、これは。
きっとレンの中のコンピューターがおかしくなったのだろう。
レンを造った人に連絡して見てもらったが、もう手遅れらしい。
直らないなら、とレンの活動は止めた。
もう動かない、ただの人形だ。
他のVOCALOIDたちにもそのことを伝えた。
皆それぞれ悲しげな表情を浮かべたり、リンなんかは大声で泣いたり…。
その時ふと目についたのはカイト。
驚きと少しの恐怖心?
そんな感情が窺える。
……何故、カイトは私を見て怖がっているんだろう?
そんなことを考えているうちに、カイトはふらふらとレンを置いてある部屋へと行ってしまった。
ーーーそれからカイトはずっと歌い続けている。
時々、話しかけたりしながら。
私は何故かそのことに苛立ちを覚えて、カイトのところへ向かった。
カイトはまだ歌っている。
「カイト。」
私が呼びかけると、ゆっくりと振り向いた。
「なんでしょうか…マスター…。」
「レンは壊れたんだ。」
「?何言ってるんですか、マスター。悪い冗談はよしてくださいよ」
…やはりか。
カイトはレンが壊れたのがショックで記憶を消したんだろう。
全然現実を理解できてない。
「レンは壊れた、もう動くことはない。」
「レンは死んでない!」
感情を剥き出しにして、カイトが叫ぶ。
「レンは……殺されたんだッ!!」