あやかし秘密の生徒会
□雅先輩への愛情弁当
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昼休み。食堂の親子丼を頼んだ私は、親子丼を前に後ろをぱっと振り返る。
(ヴァン先生いないよね…?)
入学した最初の頃ヴァン先生に私の親子丼を食べられたのを思い出し、思わず用心深く食堂を見渡す。
「よかった…ヴァン先生いないみたい…」
ほうっと息をつくと、ぽんっと肩を叩かれた。
びくっ…
「…すみません、驚かせてしまいましたか?あかね」
肩を叩いた主は、雅先輩だった。相変わらず綺麗な顔立ちをしていて、私に微笑む。
「い、いえ…ヴァン先生が来たかと…」
「ヴァン先生…?」
雅先輩は一瞬表情を曇らせた。私は気にせず話す。
「はい…前に私の親子丼食べられたので…」
「ああ…ありましたね。あの先生は給料日前はすぐに生徒の食べ物を奪うので…本当教師としてどうかとは思いますが…あ、隣宜しいですか…?」
雅先輩は苦笑しながら、私の横の席の椅子に手をついた。
「あ、勿論、どうぞ。雅先輩もお昼ですか?」
「ありがとうございます。いえ、私はお昼にものを食べるという習慣はないので…どうぞ私に遠慮食べて下さい」
雅先輩はにこり、微笑んで私の手に自分の手を重ねてきた。
「あ…あの手…食べれないんですけれど…」
「ふふ…あかね…」
雅先輩は、顔を少し近づけてくる。
「な、何ですか…?ここ、食堂ですよ?」
「私といる時に他の男の名が出るのは不愉快だ…」
小さな声で雅先輩は耳元でいう。
「え…?」
「ふふふ…その親子丼、人気なんですよね?」
雅先輩は何事もなかったかのように微笑み、私の前に置かれた親子丼を見た。
「は、はい。ずっと食べてみたくて…」
私は、箸に卵とご飯を挟む。と、それを私の右手を掴み、雅先輩はそれを口に運んだ。
「美味しいですね。おいなりさんには敵いませんが」
「み、雅先輩!!」
「?あかねが食べる前の毒味ですよ」
雅先輩はにこり笑いかけ、親子丼を箸でつまみ、私の口に入れる。
「…!?雅先輩!!みんながいるから…」
「誰も見てませんよ。美味しいでしょう?」
不安もあるのに、親子丼はすごく美味で…少し悔しかった。
親子丼を食べ終わると、雅先輩はこう言った。
「たまには昼食を食しても良いものですね」
雅先輩は私の親子丼を少し食べた。私が食べるのがおいしそうだからとか、肉が美味しいとか色々言いながら。
「雅先輩も一緒にお昼食べませんか?」