黒バス短編

□スカーレット
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私の手を引いてズカズカと歩く宮地。

彼の大きな歩幅について行けず、所々バランスを崩しながら必死に追いかける。

私にはその広い背中が怒っているように見えた。



「ちょっ…宮地っ、早いっ…宮地!」



必死に呼び止めるとこちらを振り返ることもなく背中越しに「なんだよ」とぶっきらぼうな声が聞こえた。

そもそも私には宮地が怒っている理由がわからない。

知らないうちに何かしちゃったんだろうか?



「どうしたの?部活中も何かイライラしてたし…いつもみたいに皆で帰らないの?」

「…別に、いいだろ」

「緑間と何かあった?」

「何であいつが出てくるんだよ」

「だってあんたいつも緑間につっかかってるじゃない」



そう言えば宮地は完全に機嫌をそこねてしまった。

一体私にどうしろと言うのだ…



「…お前さ、」



困っていると不意に立ち止まった宮地。

突然過ぎてブレーキが効かなかった私は宮地の背中に激突した。

それでも全く気にしないように宮地は話し続ける。



「お前さ、」

「…何?って……え?」



くるりとこちらを向いた宮地はどこか悲しそうで、寂しそうな表情をしていた。



「高尾と仲いいよな」

「…は?」

「いつも仲よさ気に喋ってるもんなー。あいつもあいつで煩くてムカつくけどまぁノリいい奴だしな」

「何?何の話?」

「鷹の目も持ってるし」

「ちょっ…何?」



私の質問を一向に無視して話を続ける。

その内容は全て後輩の高尾に関することばかりで、そのせいか私は今日の部活のことを思い出していた。

確か今日は休憩時間に…





「名前先輩〜っ」

「ん、高尾お疲れ。はい、水分」

「あざーっす。あ、そういや名前先輩、」

「んー?」

「宮地先輩にこ・く・は・く、しないんすか?」

「ブッ!ばばば、ばかっ何言ってんの。あんな奴好きでも何でもないし!」



楽しそうな笑みを浮かべて爆弾発言してきた高尾。

私は思わず噴き出してしまった。



「ごまかさないごまかさない。俺を誰だと思ってるんすか」

「馬鹿尾」

「ひどっ!…まぁ、鷹の目には全部見えるっつーことで名前先輩がチラチラ宮地先輩を見てるのも見えてますから!」

「なっ…!」

「ツンデレの相手は大変っしょ。俺で良ければいつでも相談乗るんで!」



ニヤニヤとして私を見てくる高尾がムカついたので鳩尾にグーパンをお見舞いしてやった。



「ぐほっ…グーパンて、きっつ」

「茶化さないの。ほら、練習しなさい」

「へーい」



高尾は、のたのたと歩いて緑間の方へ歩き出したのだけれど、ふと何かを思いついたかのようにくるりと振り返って大きな声で言った。



「今日も可愛い名前先輩の為に残りの練習頑張ってきまっす!」



んじゃっ、とウィンクで星を飛ばしてまた練習に戻って行った。




……と、まぁそんなことがありまして。

何で私の気持ちバレてるんだってかあんな大きな声であんなこと言われたら当然他の部員達にもそれは聞こえてしまっている訳で…って、え?宮地はそれで怒ってるの?



「宮地、」

「な、なんだよ」

「ちゃんと言って、何で怒ってるの?」



宮地の手を取って見上げる。彼の目をしっかりと見て聞いた。

やっぱり解決するには本人の口から直接聞いた方がいい。特に宮地に対しては。

だって好きな人に何か誤解されるのなんて嫌だ。

だけど宮地は何も言わずに居て、その顔はさっきまでの複雑そうな表情から真っ赤に変わっていた。



「おまっ…手っ…!」



うろたえる宮地の視線は私が握っている宮地の手。

あ、いや、私だって恥ずかしいけど…



「だって宮地が何があったのかちゃんと言わないから…っ」

「……っだー!ああもう!妬いたんだよ!」

「………………は?」

「随分反応遅いなオイ」

「妬いたって…え、誰に?」



唖然とする私に宮地は深い溜め息をついた。



「高尾に…決まってんだろ」

「は、何で!?」

「いや、今ので俺がお前に対して妬いてたら大問題だろ!お前はどこまで鈍いんだよ!?
お前が好きだから、高尾に嫉妬したっつってんだろ!轢くぞ!」



一気に捲し立てた宮地の言葉をじわじわと理解した私の頭の中は真っ白になった。



「…あ、ええええぇ!?何それ初耳なんだけど」

「当たり前だろ!?今初めて言ったんだからよ」



そう言う宮地の顔は今にも火が出そうなくらい真っ赤で、取り敢えず罰ゲームや、からかわれている訳ではないらしい。

だけど…急過ぎる。

今までそんな素振り見せなかったし、むしろ虐げられていたというか…



「いつも私にブスとかキモいとか言ってくるじゃない…」

「そりゃあお前…す、好きな奴は虐めたくなる、だろ」

「…小学生か」

「あ?」

「いえ何も」



改めて考えてみるとなんか凄いことになっちゃってる…

だって今目の前に立ってる宮地は私の事を好きだと言った。

私の好きな人が私に告白をしてくれたんだ…

クラスも違って、ただ彼がバスケをしているのをずっと見てるだけで、たまにからかわれるだけだったのに。

宮地を見上げると前髪をくしゃっと掴んで「こんなはずじゃなかったのによー」と呟いている。



「あのさ、」

「あ?」

「私まだ返事してないんだけど」



私の言葉に宮地がピシリと固まった。顔が引き攣っていて、思わず吹き出しそうになったけれど必死に堪えた。

宮地のこんな緊張した表情なんてレアモノだ。



「私も、好きです…」



精一杯の笑顔で告げると宮地は私を抱きしめた。

突然過ぎて私は一瞬呼吸を忘れた。

すぐそばに感じる宮地の温もりと息遣いにバクバクと心臓が高鳴って顔が熱い。



「フラれるかと思った…」



心底安心したような、嬉しさを含んだ宮地の声色に、私はそっと彼の背中に手を回した。




スカーレッド

淡い淡い恋模様


(あのよ、)
(ん?)
(手、繋いでやってもいいけど)
(!…うん、ちゃんと掴まえといてねー)


□ □ □

宮地先輩好きなんですよ。でも書いてる途中でキャラわかんなくなったんですよ←

中途半端ですみません。
閲覧ありがとうございました!

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