シスターと女王と想い人の学園戦争

□7行目 デスワルズブラザーズです
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 えっと、落ち着くんだ、間違いを正すのが正しい行いなんだから……!
『あのね! このままだと……アラタくん、落第しちゃうよ。
 ただ、ひたむきにバトルをすればいいってものじゃないの……その……』
「……なんだよ、これがダメって言うのかよ」
『ち、違うよ……
 そんなことより、もっと大切なものがあるでしょう、って………』
「そんなことって何だよ! いけないってのかよ!?」
『えっだから違うって……!』

「もういいっ! 何だよ、ミサチなら分かってくれると思ったのに………」

 えっ………!? もういい……!?

 もういい………

 もしかして、嫌われた……? 見捨てられた……?
 あまりにもショックすぎて、アラタくんが離れても追いかけようとする気力が湧かなかった。
 そしてお昼休み、食事がまともに喉を通らないどころか食べられる気配もなく。ただ机に突っ伏して、ショックを手放せずにいた。
「なぁに、痴話喧嘩?」
「いやまだ2人は付き合ってないから……」
「ミサチちゃん、大丈夫?」
「……吊された男(ハングドマン)の逆位置。苦悩に苛まれる」
『はぁ…………
 こんな事初めてだから、怖い……』
「幼なじみなんだから知らないうちに仲直りするわよ!
 むしろそんな関係でケンカしないなんておかしいわ」
『幼なじみなんて言っても、まだ5年のつき合いだし、小学校は別々だったし、アラタくんとはLBXバトル以外何かをしたなんて事は無かったし………
 でも、よく「次こそは勝ってやるんだからな!」って指をさされたのは……』
「それは喧嘩じゃなくて捨て台詞よ……
 まぁ、今回はどっちかが折れたら終わりなんだから気長に待ってみたら?」
 気長に、か…………
 ……アラタくん、ずっとあのまま授業を受けずにいるのかな。

 放っておけるわけ、ないよ。
 一緒にプロになりたいのに…………





 今日の作戦は、ロシウスの物資補給拠点・ブラックウィンドキャンプを制圧すること。
 今回は第1・2・5小隊の出撃となるため、私たちは待機することになった。
 ユノちゃんに誘われて、戦況を見ることになったんだけど……あのデスワルズブラザーズが領地を守っているなんて。大丈夫かな……
『アラタくん……』
「やっぱりアラタが心配?」
『嫌われても、負けるのはイヤだもん………』
 祈るように、ゆっくりと首にかけている長いロザリオを握りしめる。
「なんだ、水無月は瀬名が気になるのか!」
『えっ!? は、はい!』
「そうなんです、最近とても活躍してるから!」
「いやー、シスターの目に留まるなんてすごいわねー! とても強いのよねー!」

 ユノちゃんとキャサリンちゃんが猿田先生をごまかすようにアラタくんを褒めちぎる。
 そう、シスターメイ以外の先生に、私のアラタくんへの想いを知られてはいけない。きっと猿田先生に知られたら厳しく叱ると思う。
 先生は彼女達がごまかしているとは思わず、そのまま近くの席に座り、戦況をじっくりと眺めている。
『あ、ありがとう、二人とも』
 先生に気付かれないように二人にささやく。
 二人はにこり、と笑って返した。
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