シスターと女王と想い人の学園戦争
□8行目 肝試しデート、緊張します
1ページ/5ページ
放課後、ウォータイム最中のこと。
本日は出撃の命令が下されなかったため、ワタシはとある場所に行きました。ケンジさんがいるので有事には即連絡を入れてくれるでしょう。
学園の敷地内にある、校舎脇に設置されたプランター置き場、否、花壇。
レンガを積んで枠を作り、一から作りました。
麦わら帽子をかぶり軍手をはめ、スコップを手にし、作業を始める。
時は彼女が入学してからに遡る。
『明野先生……あのプランターは何故訳もなく積まれているのですか』
「ああ、あれですか?
学校にはいらないので、これから捨てようとしてるんですよ」
『……必要ない? 花が?』
「前までは育ててたみたいで種と肥料も残ってるみたいですけど、それらも焼却しちゃうんですって」
『それらを全てワタシにください』
「ええ!? それって、アーリーンさんが花を育てるってこと!?
……じゃあ、僕たちのクラスでやりませんか?」
『いいえ。
一からワタシ1人でやります』
地元にいた頃からガーデニング趣味があったので、育て方に心得があります。
花は、その地に彩りを与えてくれます。
他は殺伐としておりますが、花壇だけは学園の彩りとなっているようでなによりです。毎日たゆみない世話をし、手塩にかけて育てた結果ですね。
宣言どおり、花壇の全てを受け持ったことで担任の明野先生……だけでなく、学園長先生も感心していたようで。
先日、学園生活をより良く貢献したということで表彰しようと声をかけられましたが……
「ええっ、もったいない! 学園に奉仕しているのを学園長先生に褒められるんですよ!?」
『ワタシはそんなつもりでガーデニングをしているわけではありません』
「えぇー……
せっかくシスターやってないんだから表彰されればいいのに……」
……明野先生の言葉に疑問を抱いた人もいるでしょう。
彼の言った意味とは……簡単に言えば、神威大門統合学園でシスターになった女子生徒は、表彰されることができないそうです。シスター禁則事項の一つとして。
シスターが利益目的で働いてはいけないから、でしょうか。どうせ形だけのシスターなのに。
だからこそ一般の生徒が表彰されるのは、担任の先生として大変誇らしいことなのでしょうね。
別に、学園から認められたいがために花を育ててるわけではありません。ただの趣味として行ってるだけです。
ワタシがガーデニングをやっているのを知ってる生徒は、同じフジリッツァの人間でも少ないです。一人で行う趣味に介入されたくありませんから。
……あまり、大人数は得意ではないのです。友人を持つようなこともワタシには似合いません。
周りがどう思おうとも構いません。理不尽だろうと、なんだろうと。
女王とはそのようなものでしょう。