シスターと女王と想い人の学園戦争

□10行目 バンデットが現れました
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 バンデットが私たちの前に現れた。
 それと同時に第3小隊のシンさんと、アキトさんがロストしてしまった。……そんな、来たばかりなのに。
 空いてしまった机を見ると、自然に涙が溢れてしまう。
 でも、ここで泣いてはいけない。

 また、「弱虫」と言われてしまう。



 アラタくん達が転入する前に、ここの生徒だった第1小隊の2人がロストした。その日、誰にも知られないようにめそめそと泣きながら帰った。
 当時はそんな背中を、見送ることしかできなかった。いや、今回もだ。
 誰かとすれ違い様に、「弱虫め」と言われた。その言葉は今も胸に深く刻まれている。
 それを言った人は、ロンドニアの人だった…かもしれない。深い緑の制服が印象的だった。
 その人がどこかでまた私を笑っているのかもしれない。シスターとして、涙を見せるなんて恥ずかしい。だから私は泣くのを、やめ………


『……っく、う、うわああん……』
「ミサチ!? 大丈夫……!?」
「……お前も辛いんだな……」
 ……やっぱり、何度も仲間がいなくなるのは嫌だよ。

 美都先生の入室と同時に、急いで席に戻って目をごしごしと拭いた。泣いてる所は、先生には見せたくない。
 前を向くと、見慣れたようで訳の分からない光景を目にした。
 転校生が2人来た。それもシンさんとアキトさんの所属していた第3所属に、穴を埋めるように。
 この事態に違和感があった。
 今まで第3小隊はこうやって戦力が無くなっても、すぐに補充されるように転校生が来た。
 第1小隊の2人がロストしても、しばらくハルキくんとサクヤくんの2人だったのに。
 それに疑問を抱きながらも、誰にも話さないでいたけどみんな同じように怪しく思っているのだろう。
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