だぎゃー!

□001 反乱だぎゃー!
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『ヒロ、ヒロ!
はよ起きんかいたーけっ!(早く起きなさいバーロー!)』


「……んぅ…あと3分」
『いっつもそればっか!今日は宇宙英雄センシマンの…』


「そうだった!早くゲーセンに行かなくちゃ……!」
『だったら朝食食べりゃあ!(食べろ!)』



2051年。私、秋原ミノリといいます。
自分の両親はしばらく地元のナゴヤシティに帰省しなければいけなく、私だけ幼馴染みの大空ヒロの元で暮らすことになった。…実質二人暮らしです。同棲じゃあらすか!
何故私だけ、東京に残るのかというと――少し重大な理由があるからだ。



『私もう行くね!今日の仕事、早いから』
「うん、頑張って!…見たかったなぁ、マサムネたんのライブ…」
『はっ恥ずかしいから見にくんな!それに、大きなお仕事でもあるし……緊張するみゃー…』
「ミノリ、名古屋弁!大丈夫だよ、ミノリならできるって!なんせ将来は大スターの戦国武将系アイドル、伊達マサムネ…『いっ、行ってきます!』



この通り、私はアイドルをやっている。ヒロはアイドルの時の私が好きなようだけど(もちろん…という言い方はおかしいけど素の私も好きだとさ)、自分はこれを汚れ役と思っている。だってあんまり人気じゃないし、曲が恥ずかしいし…… …素の自分とかけ離れてるし。
まぁ、大体のアイドルなんて下積み時代なんてものがあるからこんなのも経験してからこそ!大スターになれるんじゃないかな…と思ってただ今大奮闘している。


そして今日、LBXで有名なTO社の新商品発表会でオープニングセレモニーとして一人ステージで歌うことになったのだ!しかもオリジナルのLBXを操作しながらのパフォーマンス。レッスン当初はまず基本操作からで大変だったけど、今はもう何も怖くない!


車で会場のトキオシアに向かっている途中も操作の練習をしている。このLBXの名前は「ヴィーナス」、今回のためだけに作られた子だ。(子、なんてないか……)
一度使われたらどうなるのかは知らないけど、今日まで大切に扱った。一級品だから、でもあるけど…なんだか愛嬌があって可愛らしいのだ。
町を見ればよくDキューブを開いてLBXバトルをする少年少女の風景はよく目にするけど、実際ああいう人たちとバトルしたことがない。まぁやる暇もないし、暇さえあればヒロと(無理やり)一緒にセンシマンのブルーレイ見(せられる挙句に魅力を小一時間語ってく)るし。
仕事で初めて操作してみたけど、やっとまともに動かせたときにはすごく嬉しくなった。
すごいなぁ、LBXを作った人は。マジでどえりゃあ楽しくなってきた!なんだかこの子をずっと使いたいなぁ…………





「伊達さん、それでは控え室で着替えてくださーい」
『はいっ!』



衣装を替え、専用のシースルー(つまりは透明)の眼帯を右目に装着させる。
ツインテールをほどき、ヘアアイロンで髪をふんわりかつストレートに決めて。
メイクさんによるお化粧で……私は秋原ミノリから伊達マサムネに生まれ変わった。



「マイクテストしてくださーい!」
『あー、あー…大丈夫ですね!』
「では本番はいりまーす!ヴィーナスはどうですか?」
『順調です!このまま続けてください!』



「それでは、オープニングセレモニー…TO社イメージソング、「駆けよ戦士ども☆」です!」



今更だけど、本当に変な曲名だな!
























オープニングセレモニーは…成功したのかな……
歌、踊り、パフォーマンスにミスは無かった。あっ、今男の子と目が合った。なんだか逃げたい。
退場指示をもらい、やっとステージから離れられる。……ふぅ、緊張した…こんなときにヒロがいなくて逆に安心したよ…なんかこういうものは見せづらい!
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