だぎゃー!

□004 空の上だぎゃー!
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アミとカズの反応が消えた。
ここの探索がわかったのだろうけれど、何されるかは私達は知らない。


「拓也さん……」
「心配するな。…奴らはアミとカズを必要としている。手荒な真似はしないだろう」
「それに、少なくとも行き先は分かったわ」

そう言っても、不安が消えるわけはない。けれど、安心させるように田宮さんが私とランの肩を優しく置いた。「大丈夫よ…」と微笑んでみせる。


「A国………

そこに、ディテクターの本拠地があるんですね!」

一斉に世界地図が映されているモニターを見つめる。…そこに行けば、2人が助かるのね…!


「…よし。みんなすぐに搭乗準備をするんだ。
出発は明日だ」

「「「『はいっ!!』」」」



















ナゴヤシティのお父さん、お母さん……初めて日本を飛び出します。
嘘だと思うでしょ……海外に行く目的は仕事ではなく人質(とは言い難いけど)を助けるために行くなんて……しかも旅行気分ではいられないし!


こんなことを正直にお母さんにメールで伝えたけど、どんな返事で返されるんだろう……どうも嘘くさくて信じられることじゃないのは承知だ。

一通来た。お母さんから。
どれどれ……題名は、「すごいわね!」…あれ、信じてくれてる…?


「海外でテロリストと戦う映画に出るのね!
でもヒロくんも出るなんてどうしたの?
エキストラ?それともメインキャラ?どっちでも嬉しいわ、頑張ってちょうだい!」


………映画の設定としか思ってない……だと……!?
いやいやいやいや本当に、マジなんだって!マジで凶悪な敵と戦うんだって!
…はぁ…でも、無駄な心配かけさせたくないし、このままでいいか……



「おばさんからメール来たの?」
『うん…テロリストの一件、映画の設定だとしか思ってないけど』
「設定!?……ははっ、おばさんらしいや…」






自宅に帰ってから、それぞれ荷造りを済ませた。
だけど持っていく服や下着その他諸々が多すぎて、トランクに入りきらない。
イライラしっぱなしだったけど、ヒロは自分の荷造りを先に済ませて早速センシマンを見ていることで我に返った。

「やっぱりこの回は外せないなぁ…持っていこ!」
『アンタ、ソレ持ってくの!?荷物の邪魔でしょ…』
「そういうミノリだって、化粧道具とか着替えとかいっぱい詰めようとしてるじゃないか!」
『これ全部必要だっての!』
「僕こそ!センシマンは僕の聖書だから持って行かないわけにはいかないんだ!」



……なんてお互い様だろう…
せめてコイツみたいにはならないように、荷物をもう一度確認していらないものはトランクから出していった。…フェイスパックと洗顔料と加湿器とヘアアイロンとつけまはさすがにいるけど…… あれ?なかなか減らない。


荷物選びに四苦八苦しているうちに、電子レンジの加熱が終わりベルの音が叩かれる。
レンジから取り出し、蓋を剥がせば簡単にレンチンできるカレーが香りと湯気を上げて出来た。
さっそくスプーンで一つすくって口に運ぶ。…センシマンは昔からよく目にして、何度もセリフを聞いたからなんだか馴染んでしまった。
よく飽きないな、と思ってるけど、これがあってのヒロだ。…センシマンを取ったヒロなんて、想像できやしない。



「マスター、勇気ならここに!」
「お前の背負っている宿命は重い!受け止める覚悟はあるのか!?」
「はい!マスター!」


うわあああああ思ったことと一致してる全部覚えちゃったあああああ!!
…いや、これはもしかしたらチャンスなのかもしれないぞマサムネ!「好きな特撮は?」って聞かれたら真っ先に『センシマンですっ!』って答えられる…!ファンアピールも容易いこと!

………いつそんな質問されるんだよ!
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