だぎゃー!

□005 A国だぎゃー!
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「このジャンヌDと……勝負よ!」

一体どうしたことか、金髪の女の子がバンに勝負を仕掛けてきた。
誰だと聞いても、Dキューブを広げてとにかく勝負をさせたがる。当然、こんな緊急事態に他人とバトルしている暇はないんだ。


「誰だか知らないけど、急いでるんだ。
相手はしてられない」

バンだって優先事項を分かって……

「いいじゃねぇか、異国での初バトル!」
「えっ?」

しかし引率者のコブラはバトルをしようと言い出す。アンタだって今の状況を…!

「感じ悪い、やっちゃいなよ!」
「ほぉれバン!」
『えっ…いいの、時間は?』

気にすんな、と無言で伝えるようにDキューブに目を向けるコブラ。…バン、ついに勝負に乗ったから反対することはないか……
しかし、相手のジャンヌDは私と同じ二丁拳銃の使い手なのか…バトルの参考になるかしら?

勝負開始から、いきなり長距離から攻めるジャンヌD。なんてスピードがあるんだ……エルシオンは防戦一方だが、なんとか距離を縮めようとしている。だけど、相手はなんて……

『なんて正確な射撃なの…!』
「この人強い…!」

下手な鉄砲数撃ちゃ当たるでたらめな私の撃ち方とは違い、激しい攻めながら落ち着いて正しい判断ができている。悔しいけど、実力は高い…!

エルシオンの一撃をかわし、高く飛ぶと…銃口をエルシオンに向けた!

「チェックメイトね!」

バンバン、と撃つが、なんとか全ての弾幕をかわしきって自分も飛ぶエルシオン。空中で槍を一振りするが相手もかわし、さらにエルシオンを蹴っては安定した着地をした。レベルが高い技術…なんて見習うべき点が多いのだろう。
しかしエルシオンからの一撃はかわす暇もなく、両手銃で防ぐことになった。…あのエルシオンの一撃を防ぐなんて、パワーもあるのか…!
このバトル、どっちが勝つんだ……!

「……フッ、ここまでにしておきましょう」
「…えっ……?」


え、せっかくいいところだったのに…彼女はジャンヌDを手のひらに乗せ、バトルを中断した。

「噂どおりね…山野バン。
私はジェシカ・カイオス。あなた達を迎えに来たのよ」
「NICSからな」
「ええ」

…コブラ、アンタ知ってたの!?
NICSからと聞けば、この人は…味方だったのか!

「大空ヒロ、花咲ランに秋原ミノリね……そして貴方が」
「コブラだ、お嬢さん」

彼女はさっきの挑発的な笑みから歓迎の笑みに変わり、早速案内を始めた。
…この人、結構いい人だがね…しかも、バトルの腕は彼女をお手本にしたい!

黒塗りの、いわゆるリムジンに乗った私達。さすがNICS…気持ちが高ぶる!
口々に今の状況を驚き入ってキョロキョロと見回すが、だからって油断するわけにはいかない。ちゃんと真面目モードに戻らないと……

「どうしていきなりバトルなんか…」

さっきの一件についてバンが訊ねる。
彼女曰く、テスト…自分と同じレベルなのか確かめたわけだ。そして負けずに戦えたのか、合格をもらったのだった。






一方日本…トキオシア地下、シーカー本部では。

「バンくんたちは無事Nシティに到着……」
「NICSとも、コンタクトが取れたみたいですね」

里奈と田宮がそれぞれ宇崎に報告をし、共々安心して彼らを見守っていた。

「…そうか」
「みんな、無事に戻ってきて欲しいわね……」
「ああ……その為に俺たちは、今やるべきことに全力を尽くすしかない」
「大丈夫です、私達が頑張ればみんな元気でいてくれますから!」
「結城!ワクチンソフトの開発状況は」
「最終調整に入ってます」
「…急いでくれ!」
「分かりました!」

(…みんな、応援してるからね!)
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