だぎゃー!

□009 500kmだぎゃー!
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納得はいかないまま、オメガダインを後にした。結局、手がかりはゼロのまま…
長官から連絡が来た、ヒロたちのおかげでLBX暴走は解決したって!

「そうですか!」
「やりましたね!」
『よかったー…!』

「よし、俺たちも一旦Nシティに帰って、作戦の練り直しだ!」
「はい!」



『…バン……』
「どうしたの、ミノリ?」

さっきのことを、話そうと声をかける。
一瞬躊躇ったけど言わなきゃ、仲間としてダメだと心に案じた。

『アランさんと話できれたさいが、何かしゃん言うとった…』
「…どういうことだ」

最初に出たのはジン。ユウヤも端っこから私の前に出て歩き、宇崎さんも固そうな顔でこちらに近寄る。

『それが…』
「最後に言ったことの意味を教えてくれないかな…?」

そ、そっち!?あっ無意識に名古屋弁がポロリと出たのか…
ユウヤの指摘があったため、話を1から戻す。意識して、標準語に!

『アランさんと話してたとき、よく聞こえなかったけど…何か言ってたの。
足音、人の声…それが、後に行った製造ラインまでの音とテンポ、全てが合ってた!』

「……それは…未来予知って、ことか?」
「未来予知………」

って、そんなわけないよねー!…と冗談みたいに笑おうとしたが、相手の表情はさらに固くなる。宇崎さん、バン、こんなことを真に受けていいの…?
自分では聞いておいて、嘘だと思いたいけど自覚はしちゃっている。
不安を煽らせるようだけど…本当のことだから、真面目に話を続けた。

『でも、爆発したような音もした…けど、実際はなかった……』
「…まさか、その爆発って……」

言葉の続きが言えないのか、ユウヤも黙り込んだ。
その爆発て……まさか、ヒロ…!?

『いや、ヒロたちは無事でしょ!エジプトのLBX暴走は止められたって…だから大丈夫だがね!』
「そうだ、あまり深く考えないようにしよう」

ジンの言うとおり、この話は終わりにして歩き続けた。











一夜を明かし、帰りはリニアに乗る。
…どうして、4人とは向かいの席で、サングラスをかけているのかというと……

「ミノリ、周りは君がマサムネだということは気付いてない」
『…ジン、お気遣いは嬉しいけど…この必要あるの?』
「ダメだよミノリ、アイドルは普段身を隠さないと!」
『だからって疎遠になっちゃうのは…』

しかしバンとジンは言ってもきかない。仲いいな2人は…!
宇崎さんも宇崎さんで止める気はなく、タブレットを操っている。…もういいや、このままにしよう。ユウヤも止めなさそうだし。
おっと、そこでご本人が戻ってきた。売店で色々買ってくれたみたい。

「ユウヤ、Lマガ買えた?」
「うん、はい!」
「サンキュー!」
「そういえばミノリがイメージガールのお菓子もあったよ!これこれ!」
「へぇ、色んなところで活躍してるんだ!俺も食べる!」
『あっ、ちょっと前にそれやってた!照れるなぁ…』

そのお菓子の袋を縦に切ると、マサムネの顔はすぐ真っ二つに引き裂かれた。
ソフトキャンディを一ついただき、またキャンディの包み紙を縦に切る。顔は真っ二つ。


「ねぇ、この列車の貨物車両に、クリスターイングラム社製の最新型高性能CCMが積まれてるみたいだよ」
「…今度発売される、次世代型CCMか」
『なにそれ、興味ある!』
「きっとすごい性能だろうなぁ…」

……と、ちょうどリニアの発車ベルが鳴り響いた。
その瞬間に……明らかに今の場に合わないような、チェーンソーで何かを切るような音が脳内に響いた。
最初、それはただの気のせいだと気に留めなかったが、これが事件に関わることだと、思いもしなかった―――
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