だぎゃー!

□010 アングラテキサスだぎゃー!
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「カイオス長官、大統領暗殺って……」
「これが大統領宛に届いた」

モニターから映し出された、一通のメール。
大統領暗殺って、前に見た昔の海外サスペンスドラマにあったなぁ…なんて暢気なこと考えてられない。一大事だ。

「我々ディテクターの世界征服を阻むA国大統領、クラウディア・エネット…
お前を、平和記念演説壇上にて、暗殺することをここに宣言する」

ジェシカが読み通し、一同は騒然する。
悪ふざけにもほどがある。いや、相手は本気だ。
これまで幾度となく、都市にLBXを暴走させて人々を泣かせてきた。今度の犯行予告は、泣かせるどころか世間を揺るがすことを前提にしている。それが…許せない。

「平和記念演説って?」

「大統領の就任一周年を記念して行われる、演説のことよ。
一週間後に、平和公園で行われるはずだけど…」
「政府の反応は?」
「暗殺など不可能だという判断だ。
会場の警備は万全、空には哨戒ヘリ、海は最新鋭の潜水艦まで配備される」

そこまで警備が固いのなら、大統領に近付くことすら難しいんじゃないかな?
…けれど、そうなら犯行声明なんて下さない。それにディテクターが今までやってのけたことの共通点なんて、ちらほらと…その中で目立つものがある。

「LBXを使った暗殺…
その可能性が一番高いらしい」

コブラと同じことを思った。
情報のソースはマングースらしく、受信したメールからディテクターの行動を予測した山野博士のシュミレーションデータが添付されていた。…そこから、考えられたのだろう。
けれど、山野博士からというのは驚き…!

モニターから地図を見せる。
平和公園のあるアロハロア島。

「あの…アロハロア島って、今年のアルテミスが開催されるところですよね?」
「ああ、平和記念演説と同じ日に開催だ」
『なんてタイミングがおおちゃくいんがね…!』
「…ディテクターは、LBX世界大会アルテミスに暗殺者を送り込み、会場からLBXを操作して大統領を狙う。
それが、山野博士の予測だ」

タイミングの悪さに、いやそれを狙って計画を実行しようとするディテクターに、大いに腹を立てた。
絶対に、止めなければ……!

でも、アルテミスと演説のある当日1週間後まで時間がある。この時間を使って、暗殺者を止める方法を考えるのかな……


「LBXを使って大統領を暗殺…」
「でも、アルテミスの会場からどうやって?
この距離じゃ、LBXの武器で狙撃するのは不可能だわ」

地図をよく見れば、2つの会場は同じ島にあっても、なかなかの距離がある。本物の人間専用スナイパーライフルを使うわけでもないし、LBXなら射撃距離はぐっと縮まる。
コブラ曰く、山野博士は平和公園内に直接LBXを入れると考えている。…LBXって、案外見つかりにくそう…だとすると、大統領暗殺が簡単にやっちゃえるんじゃ…!

けれど宇崎さんはそれも不可能だと言う。
理由は、会場と平和公園までの距離は2キロ以上も…CCMの電波が届く距離じゃない。
それに、当日政府はアロハロア島一体にジャミングをかけてスパークブロード通信を不可能にするそうで。それなら暗殺が簡単にできるわけがない!

「じゃあ、暗殺は無理ですね」
「いや、父さんが予測しているんだ…ディテクターはきっとやる。
ジン、ユウヤ!俺たちでアルテミスに出よう!
俺たちはアルテミスファイナリストだ、今年の出場権を持っている!
ミノリも出るんだ!仕事で出るのならなおさらだ!」
『会場内で暗殺を阻止するのね…!』
「ああ!やろう、ジン、ユウヤ、ミノリ!」

バンの言葉に、全員うなずく。絶対に暗殺なんてさせるものか!
……って、当日にジャミングをかけるって言ったって、アルテミスはどうなるの?

「よし、これよりNICSは大統領暗殺計画を阻止すべく、作戦行動に出る!
私は大統領に会い、平和記念演説の中止を打診してみる。
バン、ジン、ユウヤ、ミノリ、アルテミス会場での警戒は君たちに任せる。準備を進めてくれ!」
「「『はい!』」」
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