だぎゃー!

□013 特訓だぎゃー!
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アルテミスから数日後。
…これまでの空白の時間は、新曲のプロモーションだったり取材に答えたりで大変だった。けれど大変だったのは私だけじゃない。他の人たちも、ヴィーナスも。
メンテ作業を、バン、ヒロ、ランと共にやりながら会話を交わした。


「結構傷だらけだなぁ…」
「こっちもですよ、やっぱり激しい戦いだったんですね…アルテミスは」
『世界大会って思ったよりハードだったわね…』
「バン、ヒロ、ミノリ!来年の優勝はアタシ!ミネルバだって、もっとパワーアップさせちゃうんだから!」
「どうやってですか?」
「えっと……そんなの秘密だよ」
「ああ、何も考えてないんですね!」
「考えてるって!」

「秘密か………」

バンが、ランの言葉を意味深そうに呟く。
そういえば、オタクロスが私たちのLBXにすごい秘密があることを教えてくれた。
でもそれって、何だろう…?
バンもそれを疑問に思っていた。

その時、バンのCCMから連絡が来た。宇崎さんからだ。
全員、司令室に集合するように言われ、4人みんなでそちらに向かった。




「…急に集まってもらってすまなかった。
我々はここまで、ディテクターに対し完全に後手に回っている。そこで、これから起こり得る被害を少しでも抑えるために現在我々が把握している情報を、整理しておきたい」
「手元のファイルは、これまでの事件に関わる報告をまとめた資料だ。参考にしてほしい」

目の前に置かれたのはファイルというより大作映画の台本。分厚いというかなんというか…!
ジェシカは1ページずつぺらぺらとめくり、記憶していく。私もじっくりと見て覚えようとする。

「カイルのホテルのオーナーって、パラダイスの開発計画にも出資してたのね……」

ジェシカの眉間に皺が寄る。何か怪しい事でもあるのかな……
宇崎さんが注目をするように呼び、私も現れたモニターを見つめる。

「トキオシティ、Nシティ、カイルのブレインジャック及びシャンパオのブレインジャック未遂、そしてアルテミスでのルーターLBXによる大統領暗殺未遂、以上がこれまでディテクターが関与した事件だ」
「トキオシティのブレインジャックが、全ての始まりでしたね……」
「仮面の男か……世界征服とかよく言うぜ」
「A国では、ブレインジャックを盾に大統領辞任を要求してきました」
「まさか、Nシティの地下鉄車両内にあるコンピューターを、指令コンピューター化してるとは思わなかったわね……」
「ジンが来てくれなかったら、どうなっていたか…!」
『本当よ……』

「オタクロスだったんだね、新たな指令コンピューターが中国にあることを見つけたのは」
「そうデヨ、インフィニティネットを使って、パラダイスから逆探知したんデヨ」
「シャンパオじゃアタシ失敗したなぁ……」
『ねぇ……待っていれば良かったのに、私たちったら…』
「バンとオタクロスのおかげで、ディテクターは阻止できたんだけど……」
「ラ〜ンた〜ん、ミノリた〜ん、これからも頼っていいデヨ〜!」

まぁまぁ、ラン、睨まない睨まない……あはは……

「でもアレはなぁ……」

ギックリ腰のことは忘れよう!本当に助けてくれた人なんだからさ!


「しょぼーんデヨ……」


「シャンパオでは、ディテクターの犯行声明がなかった……一体何が目的だったんだろう?」
「この資料には、世界中のレアメタルのうち95%が中国で産出されているとある。それが狙いだったんじゃないかな」
「レアメタルって、多くの工業製品に使われている希少金属よね?」
「それがディテクターに抑えられたら、世界経済に大きな影響が与えられますね」
「…つまり奴らの目的は、経済危機を引き起こすことなのか…?」
「それなら、カイルで原油の輸出停止を要求してきたのも分かりますね」
「平和公園で大統領が暗殺されていたら、そうなっていたかもな……
A国の株式市場の動きは、世界経済に大きな影響を与える」
「…長官、その方面での調査を始めたいと思っていますが」
「そうだな、よろしく頼む」

「ディテクターは、アルテミスまでもテロに利用した……許せない…!」
「バン君、それはここにいるみんなと同じ気持ちだ」

ジンの言葉の通り、ディテクターを許せない者が集まってテロを食い止めようとしているんだ。
バンだけじゃない。私だって、そうだ。

「……それにしても、ディテクターのテクノロジーは敵ながら凄いですよね」
「そうデヨ。これだけのテクノロジーが使えるということは、ディテクターには相当な科学者がいると考えるしかないデヨ!」
「……科学者か……」
「確かに、その方面から調査を進めるのもアリだな」
「その後、オメガダインに何か動きは?」
「オメガダインは、政府の査察を受け入れ、アルテミスを開催したことでMチップの安全性を世界にアピールすることができたようだ。
今は慎重に監視を続けていくしかないだろう」
「……そうですか」

「ディテクターとは一体何者なのか、そしてその目的は、更なる調査を進めたい。
ミスター宇崎とコブラは、継続してディテクターの関係しそうなあらゆる情報の洗い出しを」
「了解!」
「オタクロスはインフィニティネットの監視強化を」
「分かったデヨ」
「我々NICSはオメガダインの監視を。
そしてLBXプレイヤーの諸君……
山野バン、大空ヒロ、花咲ラン、秋原ミノリ、海道ジン、灰原ユウヤ、ジェシカ・カイオス。
これからの戦いは、これまで以上の困難が予想される。各自、万全な体制で臨めるよう準備を整えておくように!」
「「『ハイ!』」」
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