感謝感激!

□アイドルさんは傍にいます
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僕にとって興味の無いことだが、別に気にするべきことではないのだが、一応言って見たいと思う。
何故か戦国武将系アイドル伊達マサムネこと秋原ミノリが戦うメンバーとして選抜をされていた。別に気にしてないが、仕事は大丈夫なのか?・・・・ああ、確かシーカー本部にこのマネージャーさんがいたらしいな。それなら大丈夫か。
まあそれはいい。気になるのは他のことだ。


「・・・・はぁ」


どうやら彼女にとって僕は苦手というものに分類されるらしく、話しかけられたことは愚か話しかけることすらできない。今まで様々な人間に関わってきたが、ここまで避けられているとなると中々コミュニケーションをとることすらできない。
ミノリ、と何時も通り声を掛ければ何時も通り逃げ出すその背中を見て溜息を零す。
何故自分が嫌われやすいかは熟知しているが、ここまで明らかに避けられると心労と言うものも溜まってくるものだ。
仕方なくランに話しかけ、主な女性が受け入れる色を聞く。LBXの注文がまた来ていたので参考に聞こうとしたのだけれど、本人があれでは本当に話しかけづらい。


「ツバサさーん!」

「?何だヒロ」

「いえ、ミノリと話してるところって見たことないと思ったんですけど、どうしてですか?」


一応ランのも参考に入れておいて、どんなコアスケルトンにするか構想を練り始めたとき、ヒロが今しがた考えていた悩みについて聞いてきた。あまりにもタイミングが良すぎるのではないだろうか・・・一瞬何かたくらんでいるかもなと考えたが、よく考えればヒロはそんな頭をしていないことに気がついた。
現状を大まかに話してみる。別に解決してくれるとは思ってないのだし、少しくらい話しても支障はないだろう。
そう思ったのが僕の最大の間違いだったらしい。


「・・・・」

「・・・」

「「・・・・・・」」


何でこうなった。パンナコッタも驚きでハゲるぞ。
今の状況:ミノリと二人きりで向かい合って黙りこくっている。


「どこぞのお見合いか」


この沈黙に耐え切れずぼそりと呟けば、ミノリはこっそりと何かしているところに後ろから声を掛けられた瞬間のような反応を返してきた。そんなに怯えるところじゃねぇと思うのは自分だけだろうが。
再び暗い空間に戻りかけたのを引き留めたのはミノリのLBX、ヴィーナスだった。少し腕が軋んでいて、バランスが崩れかけているのが分かった。


「・・・そのLBX、貸してくれ」

「え、あ、はい・・・」

「腕に軋みがある。自分の健康も大事だが、もう少しメンテナンスを丁寧にしてやれねぇか?」

「そ、そう言われると頭が上がらない・・・」


パーツを外してグロスを塗り直し、駆動系のバランスを調整して他の部分をはめなおす。ポーチから新しいパーツを取り出してはめ、ミノリに渡した。
中々受け取らないミノリに疑問を持ち、もしかして怖くて受け取らないのかも知れないと顔を見た。ミノリがこっちを見て固まっているのを見て逆に僕も固まる。
長い沈黙の後、ミノリはそれを破った。


「・・・・ツバサさん、は、優しいですねっ!?」


・・・・声が裏返ってるのはこの際指摘しないでおこう。
優しいつもりは無いが、とりあえずヴィーナスを受け取ってもらわなければ話は終わらない。傷を付けないように丁寧においてもう一度椅子に座りなおした。
どうやら自分でも声が裏返ったのは分かったらしく、顔を真っ赤にしたミノリが目の前にいて思わず笑いそうになる。


「僕は優しいつもりはねぇよ。これが僕にとっての「当たり前」だからな」

「あ・・・そうなんですか」

「で、僕が避けられてた理由は?」


ストレートに聞きたかったことを聞いてみれば、「そっ、それはどえりゃあこわ・・・っ!」とストレートに返された。とりあえず分かったことは、ミノリはやはり僕が怖かったらしい。どこがとは聞かなかったけれど。
こいつは嘘をつけないなと見えないところで微かに笑ってしまったのは秘密の話だ。

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