感謝感激!
□夢主みんなで夏祭り!
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夏休みが始まって数日、とある人たちは神社にて召集を呼びかけられた。
呼んだ主は定かではないが、集まった人たちお互いを見れば共通点は一目瞭然だった。
『私たち……』
『どうやら、同じLBXプレイヤーらしいな』
『しかもごく普通じゃないと見た』
その共通点に早速気付いたのはソラと天地ツバサとリオ。頭の回転が速い組である。
6人全員LBXプレイヤーだということは分かったが、ただ1人この空気に耐えづらいのがいた。
仙道カズト。唯一(なのかは不明)の男子。
皆女子たちは、召集場所と時刻からして、一緒に夏祭りに行くのだと察知したのだろうか素敵な浴衣を着こなしている。その中で普段着とは、そして可愛い女子に囲まれるとは、薄い空気を辛うじて吸っている気分だ。
『……つか、なんでこの6人で夏祭りなわけ?
他のメンバー…バンとか、誘わなかったのか?』
『そうだよねぇ…
それに初めて会った人がいるから緊張しちゃうなぁ』
北島ユラが小さく手を挙げて言う。
初めて会う人がいるとも聞いてなかったし、もしかしたら他の友達も来るのかと思っていた。
『まぁ、このイベントを通じて仲良くしようよ!
ユラだったよね、よろしく!』
ミノリが彼女に向かって手を差し出す。
快く握手を交わせば、隣にどう動けばいいのか分からず頭をかいているリオもいたので彼女の手を引っ張り、3人で握手をした。
『これでリオとも仲良しだ!』
そんな3人の端に、空気を悪そうに顔をしかめたカズトが見えた。
『どうしたの、カズト?』
『…いや、なんでも…』
『そういえばカズトだけ浴衣じゃないな……
持ってないのか?』
ツバサが水を差した。
別に彼はそのことで困っているわけでは…なくもない。
しかし、女子にこのことを気にされるのが嫌だった。しかも女子率が高いのだ、逃げたくても逃げられない。
『持ってないの!?夏祭りなんだから用意しとかないと!
ちょっと待ってて、スタイリストさん呼んでくるから!』
『えええええええ!?』
CCMを出しては、ミノリが普段お世話になっているスタイリストに連絡をする。
彼女の芸能界での繋がりはここで予期せぬ活躍をし、早い時間でカズトをモデル顔負けの甚平を着せることができた。
『やっぱ甚平といったら源氏物語だよね!』
いや、それ古典だろ、と全員一致で思ったろうが実はブランドの名前である。
『みんなのも可愛いよね、どこで買ったの!?』
モノホンのアイドルがプロのスタイリストによる浴衣を借りたと言ったら、なんとも安く買ったとは言いづらい。
しかし、ちゃんと答えた人はちゃんといた。
『僕か?近所のし○むらだ』
その質問の意味をはっきりとかみ砕かずに答えたのはツバサ。正直ファッションなどどうでもよく、安ければいいと近所で買ったのだ。
二番目に答えたのはユラ。買ったのではなく、母のお下がりで貰ったものらしい。
三番目はリオ。お高い甚平を使用人に薦められたが、自分でこっそりサ○キで買ったことを明かした。
「そんなことよりも、夏祭りを楽しむんじゃないのか?」
どこからか声がした。その声の主は、ソラの浴衣の袖からひょっこりと現れた。
実は夏祭りを楽しみにしていた青竜である。
『…そうだ、今回の目的はおそらく夏祭りを楽しむことだろう。
目的なら果たさなければなるまい』
義務のように聞こえるが、彼女も実はワクワクと行きたがっている。
それを察して、彼女の手を取ってさっさと人ごみに紛れたミノリとユラだった。
『やれやれ…子供だな』
『いや俺たち子供だから』
『つか迷子になるんじゃねーぞ!』