シスターと女王と想い人の学園戦争
□4行目 ブラックローズクイーンが通ります
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「お前第1小隊だろ? あんな隊長で大丈夫か?」
「大丈夫なわけがない……ロシウスと戦う時は必ずガウンタ・イゼルファーのところに行くのだから、あの隊長は。だから俺が指揮を取らなきゃいけない」
ワタシは、悪魔に心を奪われた。
誰かがそう言った……らしい。
いいえ、ワタシは決して、彼にそうされた覚えはありません。ただ、いわゆるタンコブだから、倒さねばならないだけです。
永遠のライバルの後ろ姿を確認してから、ワタシも自分の教室へと戻る。
ちなみにフジリッツァは臙脂色の制服ですが、ワタシは改造してブレザーの袖以外のサイズを大きくしています。他にもクラスメートに、様々な改造を施している方がおります。
制服という制限の中で、それについての自由があるのが、日本の学校の長所ですね。
日本という国は、穏やかなようで、機械工学が発達しています。この島にも、一見100年前の風景が立ち並んでいるようで、地下にはLBXから見ると地球規模に広い最先端技術が詰められています。
この国のこの学園で一番になれたら……あの人を真の意味で弔えるでしょうか。
ここで花を咲かせるのに、余計なものは不必要です。自分で、摘んでみせます。
ウォータイムが始まる。
今回のミッションは、ロシウスが自国の陣地に攻め来るという情報を得たので、防衛戦です。待望の交戦ですね。
いくらでもかかって来なさい。木っ端微塵にして差し上げましょう!
『そんな緩慢な動きでは守りきれません!』
敵陣に切り込み、次々と敵を薙ぎ払う。その程度で、ワタシ達を潰そうとは、なめられたものです。
ワタシのLBX、ゴンドゥル・フルンドの武器ハンマー『ラ・レーヌウィップ』です。
ウィップと言ったら鞭ですが、ワタシの鞭は特製です。ハンマーの柄に鞭を付属しました。柄の先端を外して振るうことができます。
その鞭で近隣の敵を縛ったり、また、叩きつけるのがメインの鞭での戦い方。そして、遠方からの攻撃はしのぎ、相手を殴るのがハンマーの戦法です。
しなやかに、時には激しく、剛と柔を使い分けて戦います。相手には相性というものがありますから。
ゴンドゥル・フルンド……北欧神話で『魔力を持つ者のトゲ』を意味します。
……ああ、バラにはトゲがありますね。いいですね、バラは好きですから。
このトゲで、刺されるがいいです。
『ガウンタ・イゼルファー! いや、法条ムラク!
負けたくなければワタシと勝負するのです!』
声高に宣戦布告し、目的の相手を捜す。
……相手に声は届きませんが、それはそれで構いません。
相手こそ、ワタシを探しているはずですから。
「アーリーンさん、アタシたちはどうすれば……」
『他は雑魚の駆逐をしなさい。
ロシウス第6小隊の相手は私たち第1小隊で行いましょう。ついていきなさい!』
「「了解!」」
お目当てのLBXが見えた。相手もこちらに気付き、赤い目を光らせる。
さぁ、いざ尋常に勝負!
剣とハンマーが火花を散らしぶつかり合う。
ここで負ければ私のプライドが、沽券が、全て変わってしまう。
負けていい勝負なんてない。
当たれ、当たれ、当たれ……!
コイツの体に傷をつけてやるのです……!!
「隊長、加勢の必要性は」
『ありません! これはワタシとアイツの問題です!』
コイツはワタシの手で倒すんです! 1対1ではないと許せません!
ワタシと本気で渡り合えるのだから、決着をつけるのはワタシだけで充分です!