だぎゃー!
□002 任せるだぎゃー!
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「そんな………」
『んなこたぁ許せることじゃあらすか!』
「え?」
…しまった、またもう一つの癖が…!
『…私も、こんなことは許せないよ!』
「……だよな!
ところで、ミノリはさっきからたまに変な言葉を喋るけど…それは何?」
『いや…私愛知県生まれだったからたまに名古屋弁が飛び出ちゃうんだよね…
ペース乱しちゃってごめんね?』
ずっと昔から言わないようにしたけど、どうしてもヒロの前だと気が高ぶったときに吐息のように発してしまう。
「ううん、俺も変な言葉とか言ってゴメン!」
『いやいや!こっちもホント思ってるから!』
……しばらく黙りあっているうちに、コブラが話し始めた。
「これは世界……いや、地球という星の運命を左右する戦いになる」
そんな、地球規模の戦いに…一般人であって子供でもある私達が選ばれるなんて!
断ろうと前に出かけるが……体を震わすヒロを見て、思わず体を止めた。
「……怖いか?」
「…いえ……怖くなんかありません…
さっき言ってくれましたよね?僕は選ばれたって」
「ああ」
「やります!僕戦います!
世界征服を企む悪を、許すことなんかできません!」
久しぶりに見たその瞳は、いつになく真剣そのものだった。
そうだ、コイツはこんな戦いを夢見ていた。それがマジで地球のピンチだとしても、ヒーローになろうとしていたんだ。…そんなヒロを見ているから、知っている。
だからって、コイツを危険に晒すわけにはいかない。つか、どうして選んだのかも分からない。
…その理由が知りたいんだ。
『……私も、この一件に関わってしまった以上逃げるなんてできません。戦いましょう!』
「ヒロ……ミノリ………」
突然、機械がピコーンと音を立てた。
どうやら逆探査が終わったみたいだ………
………どうしよう、自分17時からレッスンだった…!
『時間、間に合うかな……』
「ああ、お前のために一台車を用意した。
乗ればいつものレッスンスタジオに行けるぜ」
『うそ!?…アンタ、なしてそこまで…』
逆に気味が悪く思ったが、言われたとおりにワゴン車がこちらに向かってやってきた。…本当に、スタジオに向かうのだろうかは疑わしいけど一応乗りに向かった。
「ミノリ、レッスン頑張って!」
「何かあったら連絡してね!」
『ヒロ、バン……ありがとう、いってきます』
運転手はさほど怪しくは見えない……半ば信じてもいいだろうけど…大丈夫さ、何かあれば連絡するし…ヴィーナスもいる。
けど、またヴィーナスを見るとこの子の出会いについてお馴染み疑問が浮かび上がる。
「伊達さん、今度のお仕事でコレ使うからマスターしといて?」
マネージャーの田宮さん(独身28歳のお姉さんだ)が机に置かれたヴィーナスを差し出す。
どうして、とは思ったけど…仕事のためなら、と思い一週間かけて基本操作をマスターしてみせた。…今思えば、基本操作だけで一週間って長いよね。
見かけは細っこくて、本当に戦いもできるのかと思ったけど…慣れれば慣れるほど、操作が楽しくなってきた。
でも、ただのパフォーマンスのために…二丁拳銃まで付くのか?本来お仕事ではなんの武器を持たずに華麗に舞い踊るだけなのに……と思った矢先の、実戦だった。
確かに、偶然私は取り残されて戦ったんじゃない。この子に武器を持つことには意味があったんだ。