感謝感激!

□ダンボール少女と皇帝少年と水槽少年と
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『…これ、どういう状況なのよ!?』





ナルシ兄貴曰わく、高飛車な私がとある話を聞かせて承諾させるにはこの方法で研究所に行かせるしかなかったらしい。
なんてことよ………私が高飛車だって?



その話とは、今目が合った「灰原ユウヤ」と………結婚すること。






『そんな話聞いてないわよ!
何なのよこの子、聞いてみれば被験者らしいわね?
冗談じゃないわっ!私の意志無しにこんな子と結婚させるなんて許さないんだからっ!!』


「落ち着けナマエ、現実とは受け止めるものだ。


それにもうこいつに使い道はな…」
『いなんて言わせないわよ!
酷い事言わないでと言いたいけど、私この人と結婚しないから!


ダディの意志だろうとなんだろうと、私は心に決めてる人がいるんだからねっ!
私もう帰るっ……!』




周りから呆れの溜め息や嘆きの声が聞こえる。
誰も私とあの人が付き合ってるなんて知らないから…こんなことになってるの?



とにかくダンボールから抜け出し、出口へ向かう。



と、しようとした時。


袖が弱く握られる。



後ろを振り向くと、そんなことをしていたのは灰原ユウヤだった。うっ……まるで「連れてって」と言っているような瞳を向けられているみたいだわ…!




「見ろ、そいつに気に入られてるじゃないか!」


ナルシ兄貴は面白そうに笑うが、私にとっては笑い話じゃない。
いつでも切らしている堪忍袋の緒を、今日はこんなことのために切らそうだなんて……でも気にする時間はなかった。


『……は、離してよ!
私は、あ……アンタなんかと付き合いたくも、結婚したくもないんだからね!
悪いけど……あなたより結婚しなければいけない人がいるんだから』

……け、結婚なんて早まりすぎたんじゃないかしら…!
自分で言っておいてなんだか恥ずかしいわっ、本人がいなくてよかったわ……

「…………………………………………」



彼の瞳は濁りながらも、私に「連れて行くこと」以外の何かを求めている。
どこを見ているかも分からない目線も、よく見るとちゃんと私に真っ直ぐと向いている。



小動物に見つめられているような。
心の中で、何かざわめいている。
見捨てるのがなんだか勿体無い。


せめて、彼の声一つは聞いていきたい。






『………何?何か言いたいことはあるの?』
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