感謝感激!

□ダンボール少女と皇帝少年と水槽少年と
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「灰原ユウヤ、そろそろ時間だ」



後ろから二人の男――彼の付き人が彼に声をかける。


「展開しているプログラム及びアプリを終了……」


また小声で呟くと、さっきのような感情のない人間になったように濁った瞳と猫背に戻った。
時間にしては早すぎるのではないかと考えたが、むしろこんな事態を避けられたのが運のつきだった。ラッキー…なのかしら?





その夜。


今日起こったことを早速彼氏のジンに報告した。



『ということがあって……』
「そうか…でもナマエは僕と…結婚が、したいのだろう?」
『そっ……そうよ!
だって…ジンが好きだもん……』

うわあああああ今すっごく恥ずかしい!
こんなこと言っちゃって、いいのかしら……

「……気晴らしに、明日デートに行かないか?」
『なっ、なんでそうなるのよ!
明日も彼とまた遊んで来いってダディが…!』

というか、私の言ったことどうしたの!?受け流したの?受け…止めたの!?

「彼と会うことより僕とデートに行くほど、僕が好きだっていうことを証明すればいい」


『……ジン………』
「だからナマエ、明日午前10時にトキオシアで会おう」
『……ええ、明日めいっぱいオシャレしてくるんだからたくさん褒めてよねっ!』


実は、ジンとはしばらく会わなかったのでものすごく嬉しかったのだ。
きっとジンがイノベーターを裏切ってから……彼は最近忙しくなったらしいし、それでもまだイノベーター派の私でも彼のことはまだ好きでいれた。
そして、不在ゆえに何も知らないナルシ兄貴は不要扱いされた灰原ユウヤを慰めたいのだか何なのかは知らないが私に婚約を押し付けて………



「君に彼氏がいるのか?」


『いやぁぁぁぁぁっ!
勝手に部屋に入るなナルシ兄貴!』


このように天才なのかなんなのか……バカ兄貴にまず全てを話したほうが良かった、と後悔をしても今更なわけで。
部屋の外でキックを入れた鳩尾を押さえる彼に、恥ずかしさ故に怒鳴りながら言いつける。


『海道ジンよ、何が悪いの!?』
「何……?イノベーターの裏切り者と縁を結んでいるだと!?
この僕がそんなことを認め『黙りなさい!

誰が何と言おうと、私はジンの彼女で…ジンは私の彼氏なの!』


ドアを乱暴に閉めて鍵をかける。
兄さんは昔から苦手だけど……人の恋愛に口出すなんて最低よ!



『明日、ジンとデートに行くんだから!
勝手なことをしたらアンタとは縁を切ってやる!』
「……本当だな?
神に選ばれた僕の妹ではなくなっても『そのナルシが嫌いなのよ!』


「………君もその高飛車を直せばより美しく『だから黙れって言ってるのよアホー!』


「まったく、一体いつからあんな妹に育ってしまったのだろう……
僕の妹がこんなに高飛車なわけがない……

…そうだ、仕方がないがアイツを使ってみるか……」
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