感謝感激!
□夢主みんなで夏祭り!
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色の目立つ3人を追いかけてはすぐに見つけ、6人で光る提灯の下を歩く。
道の左右にある屋台から掛け声と熱が飛び交う。早速どの屋台に行こうかキャッキャと騒ぎまくる。
『まず綿飴買おう!』
『射的なら自信がある』
『みんなでたこ焼き分けよう!』
『……まずは意見くらい統一しろ、バラバラになって面倒事を増やすな』
おかんポジになりかけているツバサ、彼女(仮)の全員を1つにまとめる采配により、最初は射的に決まった。
『……1発目、これを決める』
クールな視線に対し、ω口が最高に可愛いメタモのぬいぐるみに指をさす。
ライフルを構える姿はプロさながら。上手くも一発でメタモをヒットさせ、クールに銃口をフッと吹いた瞬間に仰向けに倒した。まことにクールである。
『か、カッコイイ!!』
『なぁ、アレ狙えるか!?』
カズトの指差す先は叩くと倒れては起き上がる、ジョーカー型の起き上がりこぼし。当てても、倒れまいと根性を見せつけるのだろう。
ソラは先ほどのように銃を構える。少女であるはずだがどこかの13にも負けず劣らずの威圧感を纏わせている。
そして、引き金を引く。
『おぉーー!』
ユラが声をあげる。彼女はもちろん、起き上がりこぼしを当て、床に目掛けて落ちたことに感激したのだ。
ソラはドヤ顔せず、ツバサに預けてもらったメタモぬいぐるみを黙って返してもらい、もふもふとぬいぐるみの感触を味わう。無表情のままだが癒されているのだろう。
次は金魚すくい。リオはやろうと思っても、家庭の関係上金魚を持ち帰ることを躊躇ってしまうのだ。
なんか、金持ちってこんなのやるよりちゃんと養殖場のしっかりとした奴を買ってるようなイメージが強いんだよなぁ……
『けど分かったんだ、そんな主観を捨てて!
男らしく金魚をスクってやろうと!待ってろ金魚、今すぐ助けてやるぜ!』
『……リオ、女の子だよね…?』
ポイを貰い、早速水槽の中の金魚とにらめっこする。
その後ろから、ツバサがひょろりと覗く。
『金魚すくいの「すくい」は助ける意味での「救う」ではないが…どれ、僕も参加してみよう』
袖をまくり、ポイも貰ってお椀を握る。
眼鏡越しに見据える先は―― 一回りサイズの大きい、黒の金魚。
『そういえば「金魚」なのにどうして赤かったり黒かったり、カラフルだったりするんだろう?』
『逆に、どうしてカラーバリエーションが豊富なのに「金」と一括りするんだかだよな』
後ろでユラとソラが語り合い、ついに「チャポン」と掬ったような音がする。
リオの握るお椀に、確かに1匹小ぶりな赤い金魚がそよそよと泳いでいた。
『おお!すげぇじゃねぇか』
『は、初めてやってみたんだけど…嬉しい、超嬉しい!
よし、お前は今日からウミだ!よろしくな、ウミ!』
ニカッと満面の笑みを浮かべ、袋に入れてもらう。
彼女の浴衣の袖から、水がびちゃびちゃと滴っていた。というかびしょ濡れである。
『って、捲らなかったの!?
あーあ、ほら絞るからむこう向いて!』
子供みたいに金魚すくいに夢中になって袖が濡れてる、そんな場面が今ここで実現された瞬間であった。
『おじさん、もう一回!』
『ツバサ、それ何回目だよ…1000円分は越えたぞ』
『まだだ…あのデカいのを取るまでは諦めない!』
『意外と燃え上がってる…
けど、いきなり大きいのを掬うよりかは小さい方を少しずつ…』
『いや、デカいのを一直線だ…
デカい奴、イズナ2号を掬い上げるのだから小さいものなどいらない!
どりゃぁぁぁ!』
ポイは綺麗に穴を空け、金魚は華麗に穴をくぐる。
曲芸のような瞬間が見れたが、つまりはまたポイを無駄にしたのだ。
『もう一回………』
『もう行こう、みんなお腹空かせてるんだ』
カズトがようやく中毒になりかけてるツバサを止め、金魚すくいを後にする。
ようやく、自分のキャラが崩れかけていたことに気付き、ゴホンと大きく咳をする。