story!!

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私はずっと見守る側だって、思ってた。
でも、今は違う。


『ムギー!お菓子まだー?』

いつものりっちゃんの声。

「はあーい!今用意しまあーす!」

…少し張り切りすぎたかな。

『あっはっは、今日も元気だなあ、ムギは。』


いつものその声は、私の特別な声に
なったの。
大好きなりっちゃん。

澪ちゃんにも渡さないわ。


りっちゃんが澪ちゃんといることに、
妬き始めたのは、二年生の二学期。
いつもの事と思っていたのに。
…いや、気づかないようにしていたの
かもしれないわ。

別にいつもの事だし、と澪ちゃんに抱きつくりっちゃん。
それが羨ましくて。
この気持ちが嫉妬だって気付いたの。

でもりっちゃんはきっと澪ちゃんの事が
好きなのね。
まもりがいのある、澪ちゃんの事が。

そういったらきこえがわるいかしら?
私が完璧、みたいで。


そうよ、私は昔から人に尽くしてきた。
お父様のいうとうりに。
私が琴吹家をつぐのよ。

そのために頑張ってきた。

それだけが目標だった。
でも今は違うわ。

りっちゃんが欲しい。

強欲かしら?
うふふ、それでもいいわ。


できるだけ卑怯な手は使わないわ。
でも、もしもの事があったら━━━━…

澪ちゃん、覚悟しててね?
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