小説

□一章  人を信じるのはいけないこと?
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俺は何のために生きているのだろうか。
死にたくて、死にたくてたまらない。このままいなくなったら、どんなに楽なのだろう。
今までの人生をなかったことにしたい。
君ならどうするだろうか。
 
 
 月曜日の朝は酷く体が重い。これから一週間学校に行くと思うと気分がふさぐ。出来ることなら学校なんて辞めてしまいたい。重い足を一つ一つ持ち上げていく。  
 俺は高校一年生、全く取り柄がないと言っていいくらい何もない。成績は赤点ばかり。授業中はぼーっとしているため、先生の話は聞いていない。常に日常生活は同じことの繰り返しである。差ほどの大きな問題が起きない限り、変わらない。
「おはよう、渡辺くん」
「ああ…おはよう…」 
 同じクラスの笹本さんは何故だか、いつも毎朝挨拶をしてくる。誰に対しても優しい為、実は八方美人なのではないかと疑ってしまう。
 
 やっとすべての授業が終わり、ようやく苦痛な日常から一時的に解放される。帰りの支度を済ませ、帰ろうとした時、背後から話しかけられた。
「おい、渡辺。お前に話があんだけど」
「何」
「笹本が体育館倉庫に来てください、待ってますって言ってたんだけど。もしかして告白じゃね?」
 告白?まさか。大して話したことないのに。
 
 ところが、体育館に着いてみると誰もいない。体育館倉庫だけが点灯されていた。様子をうかがいながら、倉庫に入ってみたが誰もいない。
「誰もいないじゃないか」
「――――!」
ドアがいきなりバタン!と閉まり、同時に明かりが消えた。
「マジ騙されてやんの」
「普通、引っかからないでしょー」
「笹本のこと好きなんじゃね?」
 外からざわざわ話し声が聞こえてきた。俺に話しかけてきた奴とグルだったらしい。
 騙されたのか――

「こいつ友達いなさそうだよな」
「いなさそうなんじゃなくて、いないんだよ」
 やめろ。
「何で学校来てんの?お前の居場所はねぇんだよ。」
「その前に何で生きてんのかだろ?必要のない人間は死ねばいいのに」
「さっさと消えろよ。笹本に近づくな。もし近づいたら、ただではすまさないからな」
 もう嫌だ。消えていなくなりたい。何でこんな目に合わなきゃならないんだ。俺が何をしたというんだ。普通に生きていて何が悪いんだ。神様は人間に同じ試練を与えると言うけれど、こんなに不平等だと思ったことがない。

 俺の日常は壊れていく。



 
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