01/12の日記
01:36
好きだったキャラメル
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「おめぇは、変わったなぁ。ゴッド」
「…何が」
「少し丸くなったな。…いや、太ったってことじゃねぇぞ?なんだ?優しくなったか?」
「………知るかよ。」
「そうだよな。昔からおめぇは、優しいもんな。」
「〜…だから、何なんだよ!」
「ゴッド…あの頃は言えなかったけどよ、ありがとな。」
「!?」
「おめぇは、いつも俺を気にかけて、心配して、それでよく、おめぇに怒鳴られてた…その時は、お前が腹を立ててる理由なんて考えてみたことなかったけどよ」
「自惚れんじゃねぇよ」
「俺は、おめぇとずっと一緒にいたかったんだ。本当だ…ただあの時、…おめぇが俺を突き放したようで寂しかったんだ。」
「…何を今更…」
「今更だよな…あの頃には戻れない。そのくらい俺も理解してるつもりだ。」
「………」
「だけど、もう一度戻れたならって…お前と別の道を歩いてから何度も思っちまうんだ。」
「………」
黙って俯く俺の掌にゼウスは、小さな箱の中の銀紙に包まれたキャラメルをのせた。
「好きだったろ?」
好きだったことも忘れるくらい昔の話。
そう言って笑うゼウスの想いが痛いほど胸に突き刺さった。
でも、あの頃には戻れない。
ゴッド&ゼウス
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01:04
右腕の願い
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「俺さ、実はゴッドって本当はすごーく甘えん坊で寂しがり屋さんなんだと思うんだよね。それが360度ひねくれてるから、全然素直じゃなくて、可愛くないだけであって、本当は物凄く愛すべき人なんだと思うんだよね。」
ケイスが爪に塗った黒いマニキュアを剥がしながらソファに項垂れて、急にそんなことを言った。徐々に剥がれてくマニキュアを見て何故塗ったのか?とゴッドは思う。だいたい、気色悪いことを言って何がしたいんだ。俺が胃袋の中身を全部口から吐き出して欲しいのか?それともただ、単に殴られたいのか?それに、360度ひねくれてるってどう言うことだ。一周してるじゃねぇか。
「だから、俺や、マリアや、アズベリーにゼロ…あとゼウスとかドクターとか、いろんな人がゴッドの傍にいてゴッドを甘やかしているわけだけど、俺達も本望なわけで、だから一緒にいるんだけどさ…」
結局何が言いたいんだこの馬鹿は、そして俺の舌打ちや、睨みはお前には届いてないのか?
「だから、もう1人じゃないんだよ…何でも独りで抱え込まないで。」
そんな情けねぇ顔、するんじゃねぇよ。
…馬鹿野郎
ゴッド&ケイス
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00:37
ジジィ。
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7歳の時には、街中の人混みに紛れて歩けば財布5、6個は盗れるようになっていた。古い鍵穴なら針金2本あれば開けられるし、逃げたり隠れたりするのも得意だった。人生に例えれば最低だけど、泥棒業をしてる連中からしてみれば、上々の方。
まぁ、と言う事情があって気が付けば、こそ泥と呼ばれ、恨まれ、嫌われて、
俺を拾ってくれた恩人も、最初は物凄く警戒して、信じきれなかった。
だから、騙してその人が持ってる金目のものを全部盗んでやろうとした。
だけど、その人は大事にしていた宝を持って去ろうとする俺に、ピストルを差し出した。
「盗むなら、綺麗さっぱり盗んでいけよ…。俺はお前を恨んで余生を生きたくねぇんだ。」
俺は殺せなかった。
恩人なのもあるけど、この人は俺が撃たないことを信じていたに違いなかった。
それがその人の人間くさい笑顔
でわかったから、できなかった。
自分を初めて信じてくれた人の想いまで
俺は盗めやしないって。
「………ごめんなさい」
俺は15歳だった。
ゼロ=ボーカス
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