05/19の日記

00:43
この男不器用
---------------


「白髪のオジチャン。」

俺の腰よりもう少し下までが全長の子供が、俺をそう呼ぶ。
確かに俺は、若くないし、オジチャンと呼ばれても致し方ないと思っている。
それに、良く言えば、グレーのプラチナブロンドであるのだが、悪く言えば、白髪だ。従ってそれも認めよう。
だが、白髪とオジチャンを混ぜるとこうも不快なものなのか。

「この前は、ありがとう。」

「あ?」

「妹のこと怖い人達から助けてくれて」

思考を巡らせてみた。そう言えば、そんなことがあったような気がする。
子供は小さな手に持った小さな桃色の花を掲げた。

「…いらねぇよ。」

「オジチャン、お花嫌いなの?」

「……その、いもうとってのにあげろ。」

子供は手を引っ込めた。そして、花のようにニッコリ笑った。片方の八重歯が抜けていた。

「ありがとう、白髪のオジチャン。」

「…うるせぇよ。」

ゴッド=ベイン



前へ|次へ

日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ